【仁藤流・空調編】エアコンは「部屋の畳数」で選ぶな。高性能住宅で本当に見るべきは“家の負荷”です

皆さま、おかげさまです。
明工建設 代表取締役、一級建築士の仁藤 衛です。

今日は、かなり多くの方が思い込みで選んでしまっている「エアコン」の話をします。

家電量販店へ行くと、

「リビングは何畳ですか?」

と聞かれます。

「18畳です」

と答えると、

「では18畳用ですね」

と勧められる。

多くの方は、これが正しい選び方だと思っています。

でも私は、ここに一度立ち止まってほしいんです。

本当に、部屋の広さだけで必要なエアコン能力は決まるのでしょうか?

断熱性能がまったく違う家。

窓の大きさも違う。

日射も違う。

気密も違う。

天井高さも違う。

住む地域も違う。

なのに、

「18畳だから18畳用」

これでは、あまりにも大ざっぱです。

明工建設のような高断熱・高気密住宅では、なおさらです。


■「畳数表記」は便利。でも、それだけを信じるのは危険

最初に大事なことを申し上げます。

カタログにある、

「6畳用」

「10畳用」

「14畳用」

という表記そのものが、嘘というわけではありません。

あくまで一定条件での目安です。

問題は、

その目安を、どんな家にもそのまま当てはめること

なんです。

昔の住宅と、今の高性能住宅では、

熱の逃げ方がまったく違います。

無断熱に近い住宅と、

断熱等級6クラスの住宅。

C値が大きい家と、

C値0.3前後の家。

これらを同じ「18畳」という数字だけで選ぶのは無理があります。


■エアコンが相手にしているのは「畳数」ではなく「熱負荷」

これが今日、一番お伝えしたいことです。

エアコンが冷やしたり暖めたりしている相手は、

部屋の広さではありません。

実際に相手にしているのは、

その家にどれくらい熱が入ってくるか、あるいは逃げていくか

です。

つまり「負荷」です。

冬なら、

外へ逃げる熱。

換気で失う熱。

隙間から入る冷気。

窓から逃げる熱。

夏なら、

窓から入る日射。

屋根から入る熱。

人や家電から出る熱。

こうしたものの合計を見ます。

だから、

同じ18畳でも、

必要なエアコン能力は家によって変わります。


■断熱性能が高い家ほど、小さいエアコンで済む可能性がある

例えば、

穴の空いたバケツを想像してください。

穴がたくさん開いているバケツなら、

水をためるために、どんどん水を入れ続ける必要があります。

でも、

穴がほとんどないバケツなら、

少ない水でも維持できます。

家も同じです。

断熱が弱い。

隙間が多い。

窓から熱が逃げる。

この家では、

大きなエアコンが必要になります。

反対に、

断熱性能が高い。

気密性能が高い。

窓性能が良い。

日射計画もできている。

この家なら、

少ない出力で室温を維持しやすくなります。

だから、

高性能住宅では「何畳用か」より、

「何kW必要なのか」

で考えた方が合理的なんです。


■私は「6畳用・10畳用・14畳用だけ買えばいい」とは言い切りません

今回いただいた資料には、

「6畳・10畳・14畳用だけ買えばいい」

という非常に分かりやすい考え方がありました。

実際、

モデルによっては、

隣接する畳数帯で最大能力がほとんど同じ。

あるいは、

価格差の割に能力差が小さい。

そういう商品はあります。

だから、

カタログを細かく見ることは大切です。

ただし私は、

“6・10・14畳が絶対の黄金律”とまでは言いません。

メーカー。

シリーズ。

冷房能力。

暖房能力。

最大能力。

低温時暖房能力。

APF。

100Vか200Vか。

機種によって違います。

ですから、

「畳数ラベルを信じるな」

ではなく、

“畳数ラベルだけで決めるな”

これが正確です。


■見るべきは「定格能力」だけでもありません

エアコンのカタログを見ると、

冷房能力。

暖房能力。

消費電力。

APF。

低温暖房能力。

いろいろな数字があります。

その中で大切なのは、

単に「定格能力」だけではなく、

どの範囲で運転できるか

を見ることです。

特に高性能住宅では、

常に大出力が必要なわけではありません。

むしろ、

一度室温が整った後は、

低い出力で長く安定して動けること。

これが重要です。

大きすぎるエアコンを入れると、

すぐ設定温度へ到達して停止。

また動く。

また止まる。

こうした短時間運転を繰り返す場合があります。

特に冷房や除湿では、

大きければ大きいほど快適とは限らない

んです。


■高性能住宅では「加速力」より「巡航性能」

私はよく、

エアコンを車に例えます。

大きなエアコンは、

大排気量の車。

小さなエアコンは、

小排気量の車。

冷え切った家を、

帰宅して一気に暖めたい。

これは、

ゼロから100km/hまで一気に加速するようなものです。

大きな能力が有利です。

一方、

高性能住宅で、

ずっと20℃前後を維持している。

これは高速道路を一定速度で走っているようなもの。

必要なのは、

巨大な加速力ではなく、少ないエネルギーで巡航できること。

ここなんです。

だから、

24時間に近い連続運転を前提とする高性能住宅では、

エアコンの考え方が従来住宅と変わります。


■「6畳用1台で家中快適」は、条件付きの話です

明工建設でも、

住宅の条件によっては、

比較的小さなエアコン能力で家全体の温熱環境を整えられる設計を考えます。

でも、

ここを誤解してほしくありません。

「6畳用エアコンなら、どんな家でも家中快適になる」わけではありません。

床面積。

UA値。

C値。

窓性能。

吹抜け。

天井高さ。

方位。

日射取得。

日射遮蔽。

換気量。

家族人数。

内部発熱。

地域の外気温。

全部関係します。

だから、

「6畳用でいけますよ」

という言葉だけを真似してはいけません。

先に必要なのは、

家の負荷計算です。


■冬は「外気温」で能力が変わる

もう一つ大切なのが、

冬の低温時性能です。

ヒートポンプ式エアコンは、

外気から熱を集めて室内へ運びます。

だから、

外が寒くなるほど条件は厳しくなります。

カタログにある通常の暖房能力だけを見るのではなく、

低温時暖房能力

も確認した方がいいです。

外気温が下がると、

能力や効率は変わります。

ただし、

「0℃なら60%」

「−2℃なら必ず半分」

と一律に言うことはできません。

機種によって低温時性能はかなり違います。

寒冷地仕様では、

低温時能力を重視して設計されたモデルもあります。

ですから、

静岡と北海道で、

同じエアコン選びをしてはいけません。


■静岡でも「暖房より冷房」の方が難しい家はある

掛川。

菊川。

御前崎。

この地域で家づくりをしていると、

冬も大切ですが、

私は夏の設計を非常に重視しています。

なぜなら、

高断熱住宅でも、

窓から強烈な日射が入れば、

室内は暑くなるからです。

特に、

西日。

大きな南面窓。

吹抜け上部の窓。

屋根断熱の不足。

こうした条件が重なると、

冷房負荷が大きくなります。

つまり、

夏は「断熱」だけでなく「日射遮蔽」が重要。

外付けブラインド。

庇。

軒。

アウターシェード。

植栽。

ガラス性能。

こうした設計によって、

必要な冷房能力は大きく変わります。


■だから「小さいエアコンが正義」でもありません

ここも重要です。

最近は、

「高性能住宅なら小さいエアコンでいい」

という情報が広がっています。

これは方向性としては理解できます。

ただ、

小さくしすぎれば当然、

真夏。

真冬。

来客が多い日。

料理をたくさんする日。

一気に温度を下げたい時。

能力不足になる可能性があります。

だから正解は、

“できるだけ小さいエアコン”ではなく、“必要負荷に合ったエアコン”。

これです。

大きすぎてもダメ。

小さすぎてもダメ。

住宅性能を把握して、

ちょうどいいところを狙う。


■「量販店の店員に畳数を言うな」は、少し言い過ぎです

量販店の販売員さんは、

基本的に、

お客様の家のUA値。

C値。

窓性能。

日射取得。

換気量。

こうした情報を持っていません。

ですから、

判断材料として部屋の広さを聞くのは当然です。

そして、

冷えない・暖まらないというクレームを避けるため、

ある程度安全側のサイズを提案することもあるでしょう。

だから私は、

「店員さんに騙されるな」

という話にはしたくありません。

むしろ、

住宅側の情報を持たずに、家電売場だけで最適容量を決めるのが難しい

という話です。


■エアコンは「住宅会社がもっと責任を持って選ぶべき」

私はここ、

住宅業界側にも問題があると思っています。

住宅会社が、

「この部屋は18畳だから18畳用ですね」

と言って終わる。

それでは、

高性能住宅をつくっている意味が薄い。

断熱性能を計算している。

気密測定もしている。

窓性能も分かっている。

日射も設計している。

だったら、

その家に必要な冷暖房負荷まで考えて、エアコンを提案する。

ここまでやるべきではないでしょうか。

住宅会社の方が、

量販店よりも家の性能を知っています。

なら、

エアコン選定も、

家づくりの一部として考える。

私はそう思っています。


■エアコン本体価格だけでなく「電気工事」も見る

200V機。

100V機。

専用回路。

コンセント形状。

ブレーカー。

設置場所。

配管長。

室外機スペース。

こうした条件でも費用は変わります。

「14畳用がコスパ最強」

と単純に決めると、

住宅側の電気計画と合わない場合もあります。

新築なら、

設計段階で、

どこに何Vのエアコンを付けるのか。

室外機をどこへ置くのか。

ドレンをどうするのか。

ここまで決めておく。

完成後に、

「200Vがありません」

では困ります。


■APFだけで「一番省エネ」と決めてもいけない

APFは、

エアコンの年間を通した効率を比較するうえで非常に有用な指標です。

ただし、

実際の電気代は、

住宅負荷。

設定温度。

外気温。

運転時間。

機種の制御。

日射。

家族の使い方。

で変わります。

つまり、

APFが高い=必ずあなたの家で一番電気代が安い

というわけではありません。

指標として活用しつつ、

家との相性を見る。

これが大事です。


■エアコンで一番やってはいけないのは「家と設備を別々に考えること」

家を先につくる。

完成してから、

家電量販店へ行って、

「20畳のLDKです」

「じゃあ20畳用ですね」

これでは、

家と設備が別々です。

私はこれがもったいないと思っています。

断熱。

気密。

窓。

換気。

日射。

間取り。

エアコン。

全部つながっています。

住宅性能が上がれば、

設備は小さくできる可能性があります。

設備を小さくできれば、

初期費用。

更新費用。

消費電力。

こうしたものを抑えられる可能性があります。

これが、

家全体で考える“設備のダウンサイジング”

です。


■大きなエアコンを買わないことが目的ではありません

ここは誤解のないように。

「高性能住宅だから小さいエアコンを買えば節約できる」

という話ではありません。

本当の順番は、

  1. 家の断熱・気密性能を決める
  2. 窓と日射を設計する
  3. 換気条件を決める
  4. 冷暖房負荷を考える
  5. その負荷に合うエアコンを選ぶ

です。

つまり、

設備選びは最後。家の性能が先。

ここなんです。


■「18畳の部屋には何畳用?」と聞かれたら

もし私が、

「18畳のLDKなんですが、何畳用を買えばいいですか?」

と聞かれたら、

すぐに答えません。

むしろ質問します。

「どんな家ですか?」

UA値はいくつですか。

C値はいくつですか。

窓は何を使っていますか。

南面の日射はどうですか。

西日は入りますか。

吹抜けはありますか。

何地域ですか。

24時間運転ですか。

間欠運転ですか。

ここまで分かって、

初めてエアコンサイズを考えます。


■仁藤流の結論。「畳数」ではなく「家の負荷」で選ぶ

今日の結論です。

家電量販店の、

「6畳用」

「10畳用」

「14畳用」

という数字を、

そのまま自宅の部屋の広さと結びつけないでください。

しかし同時に、

「6畳用だけ買えば正解」

という別の思い込みにも注意してください。

大切なのは、

エアコンの畳数ではなく、住宅の冷暖房負荷です。

高断熱。

高気密。

適切な窓。

日射遮蔽。

計画換気。

ここまできちんとつくれば、

昔の住宅よりずっと小さなエネルギーで快適にできます。

つまり、

高性能住宅の本当の価値とは、

豪華な設備をたくさん付けることではなく、

そもそも大きな設備を必要としない家をつくること。

私はそう考えています。

大きなエアコンを、

力ずくで回し続ける家。

それとも、

家そのものの性能で熱を逃がさず、

小さなエアコンが静かに働く家。

どちらがこれから30年、40年暮らす住宅として合理的でしょうか。

明工建設が高断熱・高気密にこだわる理由は、

数字を自慢するためではありません。

必要なエネルギーそのものを減らす。

設備を小さくする。

光熱費への不安を抑える。

そして、

家族が頑張らなくても快適な環境をつくる。

そのためです。

エアコンを選ぶ前に、

ぜひ一度、

「この家には、本当は何kW必要なのだろう?」

と考えてみてください。

そこから、

本当に賢いエアコン選びが始まります。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。

住んでからがお付き合いの始まり。

おかげさまでありがとうございます。

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