
更新日:2026年9月15日
掛川の注文住宅・家づくり|店長シリーズ
住宅のデザインを上手にする方法|何度提案しても決まらない本当の理由
住宅のデザインにこだわりたい。けれど、住宅会社から何度提案を受けても、どこかしっくりこない。
こうした状況になると、お客様は「自分の好みが細かすぎるのかな」と悩み、提案する側は「もう案が思いつかない」と焦り始めます。すると、外壁の色を変え、窓を動かし、木目を足し、また別の流行を取り入れる。提案は増えているのに、完成には近づきません。
実は、住宅デザインが決まらない原因は、提案の数や担当者のセンスだけではありません。お客様が求める雰囲気を、まだお互いに同じ言葉で共有できていないことが多いのです。
今回は、デザインに強いこだわりを持つお客様への提案がうまくいかない明子が、店長に相談します。上手な住宅デザインとは何か、どうすれば「これが好き」に近づけるのかを、正直にお話しします。
この記事の結論
住宅デザインを上手にする一番の方法は、格好いいものを足すことではなく、お客様の「好き」の理由を見つけ、家全体の判断基準を一つにすることです。
外観・内装・素材・色を先に選ぶのではなく、「この家で、どんな気持ちで暮らしたいか」から共通のコンセプトをつくります。その軸が決まれば、採用するものだけでなく、採用しないものも判断しやすくなります。
1. 何回提案しても、どうして納得してもらえないの?
店長、ちょっと相談してもいいですか? 今のお客様がデザインにすごくこだわっているんです。でも、外観も内装も何度提案しても、「悪くはないけれど、何か違う」と言われてしまって……。
最初はシンプルモダン、次は木を増やして、その次はホテルライクに寄せました。私なりに格好いい案を出しているつもりなのですが、もう何を提案したらいいのか分からなくなってきました。
明子は、提案するたびに違う方向へ振っているよね。それだと、お客様の好みを探しているようで、実際には明子の中にある格好いい家を順番に見せているだけかもしれない。
お客様が欲しいのは、提案の数ではないよ。「自分の好みを、この人は分かってくれた」と感じられる提案なんだ。
「何か違う」という言葉は、わがままでも、意見がないという意味でもありません。お客様の中には確かな感覚があるものの、それを建築の言葉に置き換えられていない状態です。
このときに、担当者が新しい案を次々と出すと、比較対象だけが増えます。お客様も自分が何を選べばよいのか分からなくなり、打合せのたびに好みが変わったように見えてしまいます。
提案回数を増やす前に、一度止まる
案が決まらないときは、次の案を急いでつくるより、これまでの案の「どこは良かったか」「何が違ったか」を確認します。方向が曖昧なまま案を増やしても、正解に近づいているとは限りません。
2. 良いデザインとは「流行っている家」ではない
でも、SNSで人気の外観や、今流行っている色も取り入れているんです。それでも良いデザインにならないのでしょうか?
流行を知ることは大切。でも、人気の要素を集めれば良い家になるわけではないよ。黒い外壁、木目、間接照明、タイル、下がり天井。どれも単体では格好いい。でも全部入れたら、何を見せたい家なのか分からなくなることもある。
良いデザインは、目立つ家ではなく、形や素材を選んだ理由が家全体でつながっている家だと僕は思う。
住宅のデザインには唯一の正解がありません。格好いい、かわいい、落ち着く、高級感があるという評価は、住む人の好みや暮らし方で変わります。
ただし、まとまりのある家には共通点があります。建物の形、窓、素材、色、照明、家具が、同じ方向を向いていることです。反対に、それぞれが単体で魅力的でも、方向がばらばらなら落ち着かない印象になります。
| 決まりにくい考え方 | なぜ迷うのか | 決まりやすい考え方 |
|---|---|---|
| 流行の要素を一つずつ足す | 要素同士の方向性が合わず、主役が分からなくなる | 最初に家全体の雰囲気を一文で決める |
| 好きな画像をそのまま再現する | 敷地・間取り・予算・光の条件が違う | 画像のどの部分が好きなのかを抜き出す |
| 色から先に決める | 建物の形や素材感との関係が見えない | 形、窓、素材、色の順に大きな要素から整える |
| 毎回まったく違う案を出す | 判断基準までリセットされる | 同じコンセプトの中で強弱を比較する |
3. 「どんな家が好きですか?」だけでは、好みは分からない
お客様には、好きな家の画像をたくさん送ってもらいました。でも、ナチュラルな家も、モダンな家も、ホテルの写真も混ざっていて、余計に分からなくなったんです。
画像のジャンルを当てようとするから難しいんだよ。その画像の何が好きなのかを、一枚ずつ聞いた? 家全体ではなく、光の入り方が好きなのかもしれない。色ではなく、物が少なく見えるところが好きなのかもしれない。
画像がばらばらでも、「落ち着く」「生活感を隠したい」「少し暗めの空間が好き」という感覚は共通していることがあるんだ。
参考画像は便利ですが、画像だけでは好みを正確に共有できません。一枚の写真には、建物の形、素材、色、家具、照明、撮影時間、広さ、窓の外の景色まで含まれています。お客様がどこに反応したのかを聞かなければ、担当者は別の部分を真似してしまいます。
好きな画像・苦手な画像に聞きたいこと
- 最初に目が行った場所はどこか:形、窓、壁、床、照明、家具、余白など。
- その場所を見て、どう感じたか:落ち着く、明るい、格好いい、やさしい、非日常的など。
- 反対に、変えたい部分はどこか:好きな写真でも、すべてが好きとは限りません。
- 自宅でも欲しい要素か:写真として好きなのか、毎日暮らしたいのかを分けます。
- 苦手な理由は何か:嫌いな事例の方が、避けるべき線引きを明確にできることがあります。
大切なのは、「モダンが好きですね」と早く分類することではありません。「どんな状態を心地よいと感じる人なのか」まで理解することです。
4. デザインの前に「暮らしたい気持ち」を聞く
つまり、外壁の色や好きなテイストより、もっと手前から聞き直した方がいいということですか?
そう。例えば「仕事から帰ったとき、家を見てどう感じたいですか」「休日は、家族でにぎやかに過ごしたいですか、それとも静かにこもりたいですか」と聞いてみる。
デザインは飾りではなく、その人が望む暮らしを形にした結果だからね。
同じ「ホテルライク」という言葉でも、求めているものは人によって違います。重厚な素材を求める人もいれば、生活感を隠せる収納や、照明を落とした静けさを求める人もいます。
表面的なテイスト名だけで進めず、そこでどんな時間を過ごしたいのかまで聞くと、間取りとデザインがつながります。たとえば、家族が自然に集まる家を望むなら、見た目だけでなく、家具配置、視線、照明、収納まで一緒に考える必要があります。
「家に帰った瞬間、どんな気持ちになりたいですか?」
「友人を招いたとき、どんな家だと思われたいですか?」
「10年後も残したいと思う要素はどれですか?」
「格好よさのためでも、毎日の手入れが増えるなら採用しますか?」
「絶対に避けたい雰囲気を三つ挙げるとしたら何ですか?」
5. 最初に、家づくりのコンセプトを一文にする
好みや暮らし方を聞けたら、すぐにパースを作って見せればいいですか?
その前に、今回の家のコンセプトを一文にして、お客様と確認しよう。「静けさの中に木の温かさを感じる、生活感を抑えた家」のようにね。
その一文を見て、お客様が「そう、それです」と言えたら、初めてデザインに入る。迷ったときは、その言葉に戻ればいいんだ。
コンセプトは、格好いいキャッチコピーをつくるためのものではありません。打合せ中の判断基準です。
たとえば「自然素材を生かした、明るく気取らない家」と決めたなら、強い光沢の素材や装飾的な照明が候補に出たとき、その家に本当に必要かを判断できます。夫婦で意見が分かれたときも、個人の好みをぶつけるのではなく、二人で決めたコンセプトへ戻れます。
良いコンセプトの条件
- 色や商品名だけでなく、そこで感じたい気持ちが入っている。
- 外観・内装・家具・照明の判断に共通して使える。
- お客様自身の言葉が含まれている。
- 採用するものだけでなく、採用しないものも判断できる。
- 完成するまで担当者全員が同じ意味で理解できる。
6. デザインは「大きな部分」から決める
私、最初の打合せから外壁の色やクロス、照明器具まで見せていました。選択肢が多い方が喜ばれると思って……。
細部から決めると、その細部を生かすために家全体を曲げることになる。外観なら、まず建物の形と屋根、窓の位置や大きさ。室内なら、空間のつながり、天井、光、家具の配置。その後に素材と色だよ。
アクセントを増やすより、余計な線や色を減らす方が、住宅は整って見えることが多いんだ。
道路からの見え方、隣家、日射、景色、駐車、庭、室内での過ごし方を整理します。
外観の輪郭、屋根、間取り、天井、窓、家具配置など、後から変えにくい部分を決めます。
どこを見せ場にし、どこを静かに整えるのかを決めます。すべてを主役にはしません。
床、壁、建具、設備、家具を別々に選ばず、同じ空間に並べてバランスを見ます。
昼と夜の見え方、光源の位置、スイッチ・見切り・取手などの線を整えます。
色数を何色以内にすれば必ず成功する、といった絶対的な法則はありません。ただし、理由のない素材や色が増えるほど、まとめる難度は上がります。色数ではなく「役割のない要素を増やさない」と考える方が実践的です。
7. 二つの案は「別物」ではなく、同じ軸の強弱で見せる
比較してもらうために、まったく違うA案とB案を出すのは良くないですか?
方向を探る初期なら意味はある。でも好みが見えてきた後は、同じコンセプトの中で「少しやさしい案」と「少しシャープな案」のように比べた方がいい。
そして、ただ見せるだけでなく、なぜ窓をそろえたのか、なぜこの素材を減らしたのかを説明する。提案の意図が分かれば、お客様も好き嫌いを言葉にしやすくなるよ。
| 比較する内容 | A案 | B案 |
|---|---|---|
| 全体コンセプト | 同じ言葉・同じ暮らし方を土台にする | |
| 外観 | 素材を抑え、静かにまとめる | 玄関まわりだけ素材感を強める |
| 内装 | 明るさと余白を優先する | 照明と濃色で落ち着きを強める |
| 予算 | 標準範囲を中心に整える | 見せ場へ予算を集中する |
| 説明 | 採用理由、違い、費用、暮らしへの影響を伝える | |
8. 格好よさだけでなく、暮らし・性能・予算まで一緒に考える
住宅は、完成写真を撮るためだけのものではありません。雨の日も、散らかった日も、暑い日も寒い日も、何十年と暮らす場所です。
大きな窓が美しく見えても、外からの視線でカーテンを閉めたままになれば、意図したデザインは生きません。凹凸の多い外観や素材の切替が魅力的でも、工事費、雨仕舞、清掃、将来の補修まで考える必要があります。間接照明も、光源の交換や掃除が難しければ、暮らし始めてから使わなくなるかもしれません。
デザインと同時に確認したいこと
- 暮らし:家具、収納、家電、カーテン、ゴミ箱まで置いた状態で成立するか。
- 視線:道路や隣家からの見え方と、室内から見たい景色が両立するか。
- 性能:窓の大きさや方角が、断熱・日射・冷暖房計画と合っているか。
- 施工:図面やパースの意図を、現場で無理なく正確に再現できるか。
- 維持管理:汚れ方、掃除、交換、塗り替え、補修まで受け入れられるか。
- 予算:見せ場を絞り、満足度の低い装飾へ費用を分散していないか。
9. 明子の再提案——新しい案を作る前に、聞き直す
私、納得してもらおうとして、格好いいものをどんどん足していました。でも、お客様が何を大事にしているのかを、分かったつもりになっていたのかもしれません。
次は新しい案を見せるのではなく、今までの提案を一緒に見ながら、「ここは好き」「これは違う」の理由を聞いてみます。
それがいいね。何度も修正したことを失敗だと思わなくていい。そこまでの案には、お客様の好みを見つける材料がたくさん残っている。
提案する人の仕事は、自分のセンスを見せることではない。お客様の中にある曖昧な感覚を、暮らせる家へ翻訳することだよ。
「お任せください」と言って担当者の好みを押しつけるのでも、「好きなものを選んでください」と判断をすべてお客様へ戻すのでもありません。
プロが理由のある提案を行い、お客様の反応から理解を深め、再び形にする。この往復ができたとき、提案は単なる修正ではなくなります。
「何度もご確認いただいているのに、まだ“これだ”と思えるご提案に届いていないと感じています。次の案を急いで作る前に、これまでの案の中で良かったところと、違うと感じた理由を改めて聞かせてください。見た目の好みだけでなく、この家でどんな気持ちで過ごしたいかまで一緒に整理し、家全体のコンセプトからご提案し直したいと思います。」
10. まとめ:上手な住宅デザインは「理解する力」から生まれる
デザインが上手な人は、たくさんアイデアを持っている人だと思っていました。でも本当は、お客様の言葉を丁寧に聞いて、一本の軸にまとめられる人なんですね。
もちろん知識や経験も必要だよ。でも、その知識を誰のために使うのかが一番大切だ。
お客様の好みを当てるのではなく、一緒に見つけていく。そうすれば、流行を真似しただけではない、その家族らしいデザインになるよ。
住宅デザインを上手にする7つの要点
- 新しい案を増やす前に、今までの案が違った理由を確認する。
- 参考画像は、家全体ではなく「どこが、なぜ好きか」まで聞く。
- 好みのテイストだけでなく、そこでどう暮らし、どう感じたいかを知る。
- 家全体のコンセプトを一文にして、判断基準を共有する。
- 形・窓・空間から整え、素材・色・照明は後で合わせる。
- 比較案は同じ軸の中で違いをつくり、設計意図も説明する。
- 見た目だけでなく、性能・予算・手入れ・将来まで成立させる。
本当に良い住宅デザインは、完成した瞬間だけ美しい家ではありません。住む人の価値観に合い、暮らしやすく、時間がたっても「この家が好き」と思える家です。
そして、そのデザインへたどり着くために必要なのは、特別なセンスだけではありません。好きと嫌いの理由を丁寧に見つけ、必要なものを選び、不要なものを減らし、家全体へ一貫させることです。
11. 住宅デザインに関するよくある質問
Q1. 好きな住宅画像を集めれば、好みは伝わりますか?
A. 画像だけでは十分に伝わらないことがあります。外観全体が好きなのか、素材、色、窓、照明、余白、写真の明るさが好きなのかを、画像ごとに言葉にすると伝わりやすくなります。
Q2. 住宅デザインは何から決めればよいですか?
A. 暮らし方とコンセプトを決め、その後に大きな形から整えます。外観なら建物の輪郭・屋根・窓、内装なら空間・天井・光・家具配置を先に考え、素材や色は後から合わせます。
Q3. 色は何色までにするとまとまりますか?
A. すべての住宅に共通する絶対的な色数はありません。ただし、理由のない色や素材を増やすほど統一は難しくなります。主役、背景、アクセントの役割を決め、同じ空間で実物サンプルを並べて確認します。
Q4. 何度修正してもデザインが決まりません。担当者を変えるべきですか?
A. すぐに変更すべきとは限りません。まず、担当者が修正理由を理解し、コンセプトを共有できているか確認します。それでも意図が伝わらない、提案理由の説明がない、同じ行き違いが続く場合は、担当変更や別の設計者への相談も選択肢です。
Q5. 流行を取り入れると、古く見えやすいですか?
A. 流行を取り入れること自体が悪いわけではありません。長く残る建物の形や大きな面は落ち着かせ、照明、家具、小物など交換しやすい部分で楽しむ方法もあります。本人が長く好きでいられるかを優先します。
Q6. おしゃれな家は建築費も高くなりますか?
A. 必ずしも高価な素材や設備が必要なわけではありません。形、窓、線、色を整理し、見せ場へ予算を集中することで完成度を上げられます。ただし、大開口、複雑な形、特殊素材などは構造・施工・維持管理の費用が増える場合があります。
Q7. パースが格好よければ、完成後も同じになりますか?
A. パースだけでは判断できません。実際の敷地、周辺建物、太陽光、素材サンプル、照明、家具、外構まで確認します。パースに描かれたものが見積もりと図面に含まれているかも重要です。
掛川で、デザインにこだわった注文住宅をご検討中の方へ
明工建設では、こちらの好みを押しつけるのではなく、好きな理由と暮らし方を一緒に整理し、そのご家族らしい住まいをご提案します。
※本記事は、注文住宅のデザイン検討に関する一般的な考え方と、店長個人の見解を含むものです。
※外観や窓の計画は、意匠だけでなく、法規、構造、断熱、日射、雨仕舞、防犯、周辺環境、予算などの条件によって変わります。
※パースや参考画像と実際の完成建物では、光、色、素材感、周辺環境などの見え方が異なる場合があります。図面、仕様書、実物サンプル、見積書を合わせてご確認ください。
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