【仁藤流・家づくりの話】台風、防犯、夏の暑さ、冬の寒さ。窓一つで暮らしはこんなに変わります。

おかげさまです。明工建設の仁藤です。
皆さん、10月10日が何の日かご存じですか?
昔は体育の日でしたね。
私くらいの世代になると、10月10日と聞けば、まず体育の日を思い浮かべてしまいます(笑)。
ところが、今は「窓ガラスの日」でもあるそうです。
窓ガラスが透明(トーメイ)であること、そして高機能ガラスには2枚のガラスを組み合わせたものがあることから、「トー・トー」で10月10日。
なるほど、よく考えたものですね。
そんな記事を読んでいて、私は少し考えてしまいました。
皆さん、家を建てるとき、窓をどこまで真剣に考えているでしょうか?
大きな窓が欲しい。
明るいリビングにしたい。
庭が見える窓がいい。
もちろん、分かります。
私も外の景色が見える家は好きです。
でも、建築屋としては、窓を見ると別のことまで考えてしまうんです。
この窓、夏は暑くならないかな。
冬は寒くないかな。
台風のときはどうだろう。
泥棒が入ろうとしたら?
お子さんがぶつかったら?
こんなことばかり考えているので、たまには何も考えず景色を楽しめばいいのに、と自分でも思います(笑)。
今日は、そんな窓の話です。
窓は、家の中で少し特殊な場所なんです
家をつくるとき、壁はできるだけしっかりつくります。
断熱する。
気密を取る。
雨水を入れない。
構造を考える。
ところが窓は、外の光や景色を取り入れるために、あえて壁に穴を開ける場所です。
考えてみれば、面白いですよね。
壁には外の影響をできるだけ入れない役割がある。
でも窓には、外の良いものを取り込む役割もある。
窓は、外と中をつなぐ場所であり、同時に外と中を分ける場所でもあるんです。
だから難しい。
ただガラスを高性能にすれば、それですべて解決するわけではありません。
ガラス。
サッシ。
取り付け方。
窓の大きさ。
方角。
庇。
外付けブラインド。
シャッター。
こうしたものを一緒に考える必要があります。
私は、窓は一つの設備というより、家全体の設計の一部だと思っています。
大きな窓は気持ちいい。でも、夏の西日を考えたことはありますか?
モデルハウスへ行くと、大きな窓があるリビングに目を奪われます。
明るい。
開放的。
外の庭と一体になっている。
いいですよね。
でも、そこで一度聞いてみてほしいんです。
「この窓、夏の午後はどうなりますか?」
特に西側です。
静岡の夏は、なかなか厳しい。
掛川や菊川、袋井、磐田でも、夏の強い日差しに悩まされることがあります。
西日は太陽の位置が低くなるので、軒を深く出しただけでは十分に遮れない場合があります。
そこで、ガラスの日射遮蔽性能だけでなく、外付けブラインドや外部スクリーンなども考えます。
実は、窓の外側で日射を遮ることには大きな意味があります。
太陽の熱が室内へ入る前に抑えられるからです。
家の中に入った熱をエアコンで取り除くのか。それとも、最初から入りにくくするのか。
私は後者も大切にしたい。
これは省エネの基本的な考え方です。
でも、冬の太陽まで全部遮ってしまったら?
ここが窓の面白いところです。
夏は日差しを遮りたい。
でも冬は?
寒い朝、南側の窓から太陽の光が入ってくる。
暖かいですよね。
太陽の熱を上手に取り込めば、暖房の負担を抑えることにもつながります。
だから、すべての窓を同じガラスにすれば正解というわけではありません。
例えば南側では、冬の日射取得を生かせるかどうかを考える。
西側では、夏の強い日差しをどう抑えるかを考える。
北側では、断熱性や採光をどう確保するかを考える。
もちろん、隣の建物や周辺環境によっても違います。
同じ家でも、窓の向きが違えば、求める仕事が違うんです。
人間でも、全員に同じ仕事をさせるより、得意な仕事を任せた方がいいですよね。
窓も少し似ていると思います。
「Low-Eガラスだから安心」では、まだ話が終わりません
最近は、Low-E複層ガラスという言葉も一般的になりました。
Low-Eというのは、ガラスの表面に特殊な金属膜を設けて、熱の移動や日射の透過を調整する技術です。
断熱タイプ。
日射遮蔽を重視したタイプ。
いろいろあります。
ここで覚えていただきたい数字が二つあります。
一つは、熱貫流率のU値。
熱がどれだけ通りやすいかを表す数字で、小さいほど断熱性能が高いことを意味します。
もう一つは、日射熱取得率。
太陽の熱をどの程度室内へ取り込むかという数字です。
この二つは、どちらか一つだけ見ればいいものではありません。
しかも、ガラス単体の性能と、サッシを含めた窓全体の性能は違います。
だから住宅会社には、
「この窓のU値はいくつですか?」
だけでなく、
「なぜ、この場所にこのガラスを選んだんですか?」
と聞いてみてください。
私は、こちらの質問の方がずっと大切だと思います。
台風のとき、窓ガラスが割れると何が怖いのか
静岡で暮らしていると、台風のことも考えなければいけません。
特に御前崎や牧之原など、海に近く風の影響を受けやすい場所では、窓の計画を慎重に考えたいですね。
台風で怖いのは、風そのものだけではありません。
飛んできた物が窓に当たることもあります。
ガラスが破損すると、破片によるけがの危険があります。
さらに、開口部が大きく破損すると、室内への風雨の侵入や建物への影響も心配です。
そこで検討したいのが、防災安全合わせガラスです。
これは、複数のガラスの間に中間膜を挟んだ構造で、破損したときに破片が飛び散りにくくなるよう工夫されています。
ただし、
防災安全合わせガラスだから絶対に割れない、というわけではありません。
また、ガラスだけで台風対策が完成するわけでもありません。
窓全体の耐風圧性能。
サッシ。
取り付け方法。
シャッターなどの防護設備。
周辺の飛散物対策。
ここまで含めて考える必要があります。
私は、窓ガラスのカタログだけでなく、建物全体としてどう守るのかを説明したいと思っています。
「強化ガラス」と「防犯ガラス」は違います
これは、意外と誤解されているところです。
「強化ガラスなら、泥棒にも強いんでしょう?」
そう思われるかもしれません。
でも、強化ガラスと防犯合わせガラスは、目的が違います。
強化ガラスは、一般的な板ガラスに比べて強度が高く、破損した場合には細かな粒状になりやすい性質を持っています。
一方、防犯合わせガラスは、中間膜などによって破壊・貫通に時間が掛かるよう設計されたものです。
防犯では、この「時間」が重要になります。
侵入しようとしても、簡単には開口部をつくれない。
時間が掛かる。
音が出る。
周囲に気づかれる可能性が高まる。
そうしたことが、侵入をためらわせる要素になります。
ただし、防犯ガラスも侵入を完全に防ぐものではありません。
防犯性能を考えるなら、ガラスだけでなく、窓の鍵、サッシ、面格子、シャッター、外からの見通しなども含めて考えます。
防犯性能を高めるなら、家の外から見てみる
家づくりをするとき、皆さんは室内から外を見ることが多いと思います。
でも、防犯を考えるなら、外から家を見てみることも大切です。
道路から見えにくい窓はないか。
隣家との間に、人が隠れやすい場所はないか。
夜になると真っ暗になる場所はないか。
足場になるようなものが置かれていないか。
これは窓ガラスの性能とは別の話です。
でも、実際の防犯を考えるときには重要です。
高い防犯ガラスを入れれば、それで安心。
私は、そんな単純な話にはしたくありません。
必要な場所に、必要な性能を。
これが基本だと思っています。
小さなお子さんがいる家では、また違うことを考えます
例えば、小さなお子さんがいるご家庭。
元気に走り回る。
おもちゃを持って遊ぶ。
大きな窓の向こうに庭が見える。
そんな光景は、いいものですよね。
でも、ガラス面にぶつかる可能性はないだろうか。
窓の近くに家具を置いたら、よじ登ってしまわないだろうか。
窓を開けたとき、転落の危険はないだろうか。
こうしたことも考えます。
ガラスの破損時の安全性だけでなく、窓の高さや開き方、手すり、補助錠なども関係します。
子育て世代にとって、窓は明るさを取り入れるものですが、同時に事故を防ぐ工夫が必要な場所でもあるんです。
私は、窓を選ぶときにこうした暮らしの場面まで想像したいと思っています。
明工建設が窓にこだわる理由
明工建設では、断熱等級6を基本的な性能目標の一つとして考えています。
気密測定も大切にしています。
そして、計画換気によって室内の空気環境を整えることを重視しています。
でも、窓が適切に計画されていなければ、家全体の快適性に影響します。
冬、窓際が冷える。
夏、日差しで室温が上がる。
窓まわりに結露が生じる。
エアコンの負担が大きくなる。
こうしたことをできるだけ抑えたい。
ただし、窓の性能を上げるだけで結露が完全になくなるわけではありません。
室内の湿度や換気、施工状態なども関係します。
私たちが考える「深呼吸する正圧の家」も同じです。
窓ガラスだけで空気環境が整うわけではありません。
断熱。
気密。
換気。
空調。
日射。
そして、暮らし方。
これらを組み合わせて、家全体を考える必要があります。
一つの高性能な商品を選ぶことと、高性能な家をつくることは違うんです。
ここは、ぜひ覚えていただきたいと思います。
窓は、建てた後に取り替えようとすると意外と大変です
キッチンやトイレは、比較的交換を想像しやすい設備です。
でも窓はどうでしょう。
ガラスだけを交換する場合もあります。
内窓を設置する方法もあります。
サッシごと交換する場合もあります。
ただ、窓の大きさや位置を変えるとなると、外壁や内装、場合によっては構造にも関係してきます。
ですから私は、新築時に窓の位置や大きさをしっかり考えておきたい。
もちろん、将来のリフォームで改善できる部分もあります。
でも、最初から考えておけば避けられる費用や手間もあるんです。
これも、いつもお話ししている「生涯住宅費」の考え方につながります。
窓一つの価格だけではなく、住み始めてからの快適性や冷暖房費、将来の交換まで考える。
そうすると、窓の選び方も少し変わってくると思います。
私なら、住宅会社にこんなことを聞きます
モデルハウスで窓を見るとき、次のようなことを聞いてみてください。
「この窓は、なぜこの位置にあるんですか?」
「夏の日差しは、どうやって遮る設計ですか?」
「冬は太陽の熱を取り込めますか?」
「ガラスだけでなく、サッシを含めた断熱性能はどうなっていますか?」
「台風や飛来物への対策は、どう考えていますか?」
「防犯ガラスを採用するなら、どの窓が優先ですか?」
「将来、ガラスやサッシを交換するときはどうなりますか?」
全部にすぐ答えられる営業担当者ばかりではないでしょう。
でも、設計者に確認して説明してくれるなら、それでいいと思います。
私は、窓のメーカー名を覚えるよりも、なぜその窓を選んだのかを理解することの方が大切だと思っています。
10月10日。たまには家の窓を眺めてみませんか?
「窓ガラスの日」という言葉を知って、今日は窓の話をしてみました。
でも、新築を考えている方だけの話ではありません。
今住んでいる家でも、窓を見てみてください。
ガラスにひびはないか。
サッシの動きはどうか。
鍵はきちんと掛かるか。
窓まわりから雨水が入った跡はないか。
冬になると、どの窓が冷えるのか。
夏は、どの窓から強い日差しが入るのか。
そういうことを少し気にするだけでも、家のことが分かってきます。
窓は毎日見ているのに、窓そのものを見つめることはあまりないものです。
考えてみれば不思議ですね。
私は、窓の向こうにある暮らしを考えたい
最後に、少しだけ私の考えを。
窓の性能は、もちろん大切です。
断熱。
遮熱。
防犯。
防災。
安全。
どれも必要です。
でも、私は窓ガラスの性能表を見ているだけでは、家づくりをしている気がしないんです。
朝、カーテンを開けたときの光。
冬の日だまり。
庭で遊ぶ子どもの姿。
台風の夜、家族が安心して過ごせること。
夏の夕方、エアコンを必要以上に頑張らせなくてもいいこと。
そんな暮らしを想像して、初めて窓の仕様が決まる。
私は、そういう順番で家をつくりたいと思っています。
掛川・菊川・御前崎・牧之原・袋井・島田・藤枝・磐田で、これから家を建てる方。
窓の大きさやデザインだけでなく、ぜひ「この窓は家族の暮らしにどんな役割を持つのか」を考えてみてください。
もし迷ったら、図面を見ながら一緒に考えましょう。
高い窓をたくさん付ければいいという話ではありません。
必要なところに、必要な窓をつくる。
そして、その窓の向こうに、家族の良い時間が流れている。
そんな家がいいですね。
窓ガラスの日に、そんなことを考えました。
ご縁を大切に唯一無二の家造り。
住んでからがお付き合いの始まり。
おかげさまでありがとうございます。
お読みいただき、ありがとうございます。
もし今回の内容に少しでも共感いただけたなら、
こちらもきっとお役に立てると思います。
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