
皆さま、おかげさまです。
明工建設 代表取締役、一級建築士の仁藤 衛です。
今日は、家が完成するとほとんど見えなくなってしまう部分。
しかし、住宅の安全性を考えるうえで非常に重要な、
「基礎」
についてお話しします。
住宅業界では、今や「ベタ基礎」が当たり前のように語られています。
営業担当者から、
「うちはベタ基礎ですから安心ですよ」
と言われた経験のある方もいるでしょう。
確かに、ベタ基礎には優れた特徴があります。
しかし私は、
「ベタ基礎だから強い」「布基礎だから古い」
という単純な二択には、少し違和感があります。
なぜなら、構造設計で本当に大切なのは、
基礎の名前ではなく、地盤と建物に対して、その基礎がどう設計されているか
だからです。
明工建設では、商品によって構造計算に基づいた布基礎系の考え方を採用し、進化型の基礎工法も活用しています。公式サイトでも、M-THE BESTでは許容応力度計算による耐震等級3と、新設計の布基礎を組み合わせています。
今日は、
「みんなベタ基礎だから、自分もベタ基礎」
という思考を一度外して、
基礎を構造力学と地盤の両方から考えてみます。
■最初に結論。「ベタ基礎VS布基礎」ではありません
私は、
「ベタ基礎はダメ」
と言いたいわけではありません。
逆に、
「布基礎なら必ず強い」
とも言いません。
実際、国土交通省の資料でも、地盤の長期許容応力度などに応じて、べた基礎と布基礎の両方が選択肢として示されています。構造計算を行わない一般的な仕様規定では、例えば地耐力30kN/㎡以上なら、べた基礎も布基礎も選択肢になり得ます。
つまり、
正解は、土地によっても建物によっても変わる。
ここがスタートです。
重要なのは、
「何基礎ですか?」
より、
「その基礎は、何を根拠に選び、どう計算しましたか?」
なんです。
■「面で支えるから強い」という説明だけでは足りない
ベタ基礎は、
建物の下を鉄筋コンクリートの底盤で広く覆います。
そのため、
「面で支えるから強い」
という説明がよく使われます。
確かに、接地面積を大きく取れることはベタ基礎の特徴です。
しかし、
面が広いことと、
基礎全体の曲げ剛性や耐力が高いことは、
同じ意味ではありません。
鉄筋コンクリートは、
梁なのか、
スラブなのか、
どの方向に力がかかるのか、
厚さはいくつか、
鉄筋量はいくらか、
スパンはいくらか、
支持条件はどうか、
によって性能が決まります。
つまり、
「コンクリートが一面にある=自動的に強い」ではない
ということです。
■基礎にも「梁」がある
少し専門的な話をします。
建物の基礎も、
地震や地盤の変形に対して、
曲げを受けます。
そこで重要になるのが、
基礎梁の剛性
です。
梁は一般に、
せい、つまり高さが大きくなるほど、
曲げに対する剛性を高めやすくなります。
ただし、
「高さを2倍にすれば必ず何倍強くなる」
と単純に言えるわけではありません。
鉄筋量。
断面形状。
コンクリート強度。
配筋位置。
荷重条件。
支点条件。
これらによって決まります。
ですから私は、
「布基礎は梁せいが大きいから無条件でベタ基礎より強い」
とは言いません。
しかし、
基礎を“単なる床板”としてではなく、“梁として設計する”
という考え方には、
構造的な合理性があります。
■ベタ基礎にも、きちんと構造計算が必要です
ここは非常に大事です。
「ベタ基礎だから構造計算しなくても安心」
ということはありません。
ベタ基礎の底盤には、
地盤から上向きの反力がかかります。
その反力に対して、
底盤は曲げを受けます。
だから、
底盤厚。
鉄筋径。
配筋間隔。
スパン。
荷重。
を考えなければいけません。
布基礎でも同じです。
フーチング幅。
梁せい。
鉄筋。
接地圧。
地盤支持力。
全部つながっています。
つまり、
基礎形式より先に、計算がある。
これが構造設計の基本です。
■明工建設が「許容応力度計算」を重視する理由
明工建設では、商品によって許容応力度計算による耐震等級3を採用しています。
私は、
「耐震等級3です」
という言葉だけでは、
本当は少し足りないと思っています。
なぜその梁サイズなのか。
なぜその壁量なのか。
なぜその基礎幅なのか。
なぜそこに鉄筋が必要なのか。
これを、
経験だけでなく、
数値で確認する。
だから構造計算をします。
基礎も同じです。
「昔からこうしているから」ではなく、「この建物にはこれが必要だから」
で決める。
ここを大切にしています。
■不同沈下は「ベタ基礎なら防げる」でも「布基礎なら防げる」でもない
次に、
地盤の話です。
不同沈下とは、
建物全体が均等に沈むのではなく、
一部だけ大きく沈んでしまう状態です。
家が傾く。
建具が閉まりにくくなる。
壁にひびが入る。
場合によっては構造にも影響する。
非常に厄介な問題です。
では、
ベタ基礎にすれば不同沈下は起こらないのでしょうか。
そうではありません。
逆に、
布基礎なら防げる、
とも言い切れません。
地盤工学の研究でも、
最も重要なのは、
敷地と地盤の状態に応じて、布基礎・べた基礎・地盤改良などを適切に選ぶこと
だとされています。
つまり、
基礎だけを見てはいけない。
地盤とセットです。
■「重いから沈む」「広いから安心」も単純化しすぎです
ベタ基礎は、
一般に布基礎系と比べて、
コンクリート量が増える設計になる場合があります。
当然、
基礎自体の重量も増えます。
ただし、
重量が増える一方で、
接地面積も大きくなります。
だから、
重量だけを見て「ベタ基礎の方が沈みやすい」と断言することはできません。
大切なのは、
建物重量。
基礎重量。
接地面積。
地盤の支持力。
圧密特性。
地層構成。
荷重の偏り。
などを合わせて見ることです。
国土交通省の研究資料には、木造住宅について基礎形式と不同沈下・傾斜の関係を比較したデータもありますが、これも直ちに「布基礎が常に優位」と一般化できるものではありません。
ここは、
データを都合よく一部分だけ使わないことが大切です。
■では、布基礎系の魅力は何なのか?
私が布基礎系の考え方に魅力を感じる理由の一つは、
荷重を受ける場所を、構造として明確に設計しやすいこと
です。
柱。
耐力壁。
基礎梁。
地盤。
この力の流れを、
できるだけ素直につなぐ。
どこに荷重が集中するのか。
どこに曲げが生じるのか。
どこで地盤へ伝えるのか。
そこを設計する。
これは、
私が家づくり全体で大切にしている、
「流れを設計する」
という考え方にも通じます。
空気もそう。
熱もそう。
電気もそう。
構造の力もそうです。
■eLbaseが面白いのは「布基礎かベタ基礎か」の二択を崩したこと
そして、
ここで出てくるのが、
進化型基礎工法である
eLbase工法
です。
公開されている開発元の資料では、
eLbaseは、
ベタ基礎と布基礎の施工性を整理しながら、
布基礎の一体打ち施工にも対応できるよう、
基礎の鉄筋形状をL型とする考え方を採用しています。
つまり、
昔ながらの布基礎を、
そのまま復活させる話ではありません。
「布基礎の構造的な考え方を残しながら、施工性を現代化する」
という発想です。
私はここが面白いと思っています。
■基礎の一体打ちには意味があります
コンクリート施工では、
打設時期が分かれると、
打継ぎ面ができます。
いわゆる、
コールドジョイントの問題です。
もちろん、
適切に施工すれば、
打継ぎ自体が直ちに欠陥になるわけではありません。
ただ、
可能であれば、
一体で打設できることには、
施工上のメリットがあります。
eLbaseの開発元も、
布基礎でも一体打ちを可能にすることで、
打継ぎを減らし、
品質向上を図る点を特徴として挙げています。
こういうところは、
「基礎の名前」ではなく、
施工品質を安定させる仕組み
として見るべきだと思います。
■「職人の腕頼み」にしないことが大切
私は住宅の品質で、
とても大切な考え方があります。
スーパー職人がいないと成立しない家をつくらない。
ということです。
もちろん、
腕のいい職人さんは大切です。
でも、
誰か一人の感覚や経験だけに、
品質を任せてはいけない。
専用部材。
施工治具。
プレカット。
標準化。
検査。
写真。
計算。
こうした仕組みで、
施工品質をできるだけ平準化する。
eLbaseの公開資料でも、EPS型枠や専用治具による省施工化が特徴として説明されています。
これは、
単に「工事が楽になる」という話ではありません。
施工のばらつきを減らす
という品質管理の話なんです。
■鉄筋とコンクリートを減らせるなら、環境面にも意味がある
住宅を建てるとき、
省エネというと、
住んでからの電気代ばかり考えます。
でも、
これからは、
建てる時に使う材料の量も考えなければいけません。
コンクリート。
鉄筋。
これらをつくる際にも、
当然エネルギーを使い、
CO₂が発生します。
eLbaseの開発元は、従来のベタ基礎との比較例として、布基礎仕様では鉄筋量を約60%、コンクリート量を約30%削減できるケースを示しています。
ただし、
ここは注意してください。
すべての住宅で必ず60%、30%減るという意味ではありません。
建物形状。
基礎伏図。
荷重。
地盤。
仕様。
によって変わります。
でも、
必要な強度を構造計算で確保したうえで材料を減らせるなら、
それは、
単なるコストダウンではなく、
構造の合理化
です。
■私は「材料をたくさん使う=いい家」とは思いません
これは、
住宅業界全体に言えることです。
断熱材を厚くすればいい。
鉄筋を増やせばいい。
コンクリートを増やせばいい。
設備を増やせばいい。
そうではありません。
必要なところへ、
必要なだけ使う。
そして、
それを計算で確認する。
これが設計です。
だから私は、
「たくさん使った家」より、「無駄なく使った家」
の方が美しいと思っています。
■減らしたコストを、暮らしへ戻す
ここが、
施主さんにとって一番分かりやすいところかもしれません。
地下へ埋まって、
完成したら見えなくなる部分に、
必要以上の材料費を使う。
それで予算がなくなって、
窓を下げる。
断熱を下げる。
換気を下げる。
内装を我慢する。
私は、
それがいい家づくりだとは思いません。
もちろん、
構造安全性を削ってはいけません。
でも、
構造計算をしたうえで、
材料使用量を合理化できるなら、
その予算を、
断熱。
窓。
換気。
制震。
太陽光。
内装。
メンテナンス性。
へ振り向ける。
それは、
「安くする」のではなく、「お金の置き場所を変える」
ことです。
■「防湿コンクリートがある=ベタ基礎」とは限らない
これも、
一般の方が混同しやすいところです。
床下全面にコンクリートがあると、
「これはベタ基礎だ」
と思われることがあります。
でも、
構造上の底盤なのか。
防湿を目的とした土間コンクリートなのか。
役割が違います。
布基礎の構造を採りながら、
床下には防湿目的でコンクリートを施工することもできます。
つまり、
見た目が全面コンクリートでも、構造形式は同じとは限りません。
ここは、
住宅会社に聞いてみると面白いところです。
■ただし「湿気もシロアリも完全シャットアウト」とは言いません
基礎全面をコンクリートで覆う。
防蟻性能を持つ断熱材や部材を使う。
これは、
湿気やシロアリ対策として意味があります。
しかし、
私は、
「これでシロアリは絶対に入らない」
とは言いません。
配管貫通部。
基礎の継ぎ目。
玄関。
外周部。
蟻道。
施工状態。
維持管理。
さまざまな要素があります。
だから、
正確には、
侵入経路を減らし、発見しやすくし、適切な防蟻設計と組み合わせる
です。
防湿も同じ。
コンクリート一枚だけで、
湿気問題がすべて解決するわけではありません。
■床下を広くつなぐことには、設備設計上のメリットもある
内部の基礎立ち上がりが多いと、
床下空間が細かく分断されます。
それが、
設備配管。
点検。
空気の移動。
将来の改修。
に影響する場合があります。
そこで、
構造計算の結果として、
不要な内部立ち上がりを減らせるなら、
床下空間をシンプルにできます。
これは、
床下空調を考える場合にも、
一つのメリットになり得ます。
ただし、
「基礎を減らせば必ず床下エアコンが効く」
ではありません。
風量。
吹出口。
リターン。
床下高さ。
間取り。
熱負荷。
断熱位置。
全部を設計する必要があります。
■将来の間取り変更にも「基礎の考え方」が影響する
家は、
30年。
40年。
50年。
使います。
子どもが小さい時と、
独立した後では、
必要な間取りも変わります。
その時、
構造上不要な内部基礎が少なく、
非耐力壁を動かしやすい計画であれば、
将来のリフォーム自由度を高めやすくなります。
いわゆる、
スケルトン・インフィル
の考え方です。
建物の骨格と、
暮らしに合わせて変える部分を、
なるべく分ける。
これは、
長寿命住宅を考える上で、
大切な視点です。
■「ベタ基礎だから安心」という言葉を、一度疑ってみてください
私は、
ベタ基礎を否定していません。
土地によっては、
ベタ基礎が合理的な場合もあります。
国の技術資料でも、
べた基礎と布基礎は、
地盤条件などに応じて使い分けるべき基礎形式として扱われています。
だからこそ、
営業マンに、
「うちはベタ基礎ですから安心です」
と言われたら、
そこで終わらないでください。
一つ質問してみてください。
「なぜ、この土地とこの建物ではベタ基礎なんですか?」
そして、
もう一つ。
「基礎まで構造計算していますか?」
これです。
■布基礎でも同じです
反対に、
「うちは布基礎だから合理的です」
と言われても、
それだけではダメです。
地盤は?
接地圧は?
フーチング幅は?
梁せいは?
鉄筋は?
荷重は?
構造計算は?
ここを確認する。
結局、
基礎の名前ではなく、設計の中身
なんです。
■「95%がベタ基礎」という数字より、大切なこと
今回の資料には、
「新築木造住宅の約95%がベタ基礎」
という表現がありました。
ただ、
私はこの数字を、
公的統計などで裏付けが取れない状態では、
記事の主役にはしない方がいいと思っています。
仮に9割だったとしても、
7割だったとしても、
本質は変わりません。
みんなが使っている。
それは、
その家に最適である証明にはならない。
からです。
住宅業界では、
「一般的です」
「普通です」
「みんなそうしています」
という言葉が、
よく使われます。
でも、
私はそこからもう一歩進んで、
なぜ?
と聞きたい。
■「施工が楽だからベタ基礎が普及した」と断定もしません
ベタ基礎には、
施工性。
防湿性。
地盤との関係。
標準化。
シロアリ対策。
さまざまな理由で採用されてきた背景があります。
ですから、
「ベタ基礎が普及した理由は、職人の技術が低くてもつくれるからだ」
と断言するのは、
私は少し違うと思っています。
施工のしやすさが採用理由の一つになることはあり得ます。
でも、
住宅会社ごとに理由は違います。
大切なのは、
相手を否定することではなく、
明工建設が、なぜ別の方法を選んでいるのかを説明できること。
だと思います。
■仁藤流の結論。「基礎の種類」ではなく「根拠のある基礎」を選ぶ
今日、
一番お伝えしたかったのは、
「布基礎の方が偉い」
という話ではありません。
基礎を名前で選ばないでください。
という話です。
ベタ基礎。
布基礎。
eLbase。
どれも、
道具です。
目的ではありません。
目的は、
家族が暮らす住宅を、
何十年も、
安全に支えること。
そのために、
地盤を調べる。
建物重量を見る。
構造計算をする。
接地圧を考える。
必要な鉄筋を配置する。
施工品質を確保する。
そして、
材料を無駄に使わない。
私は、
これこそが、
科学的な基礎設計だと思っています。
明工建設が布基礎系の考え方を採用するのも、
昔ながらだからではありません。
逆です。
「昔からの方法を、今の構造計算と施工技術で再設計する」
という発想です。
強さ。
施工性。
環境負荷。
コスト。
将来の改修性。
これらを、
一つずつ数字と理由で考える。
それが、
私たちの基礎づくりです。
家が完成したら、
基礎の大部分は見えなくなります。
だからこそ、
見えなくなる前に、
住宅会社へ聞いてみてください。
「なぜ、この家はこの基礎なんですか?」
その質問に、
「みんなそうしているから」
ではなく、
構造と地盤の言葉で答えてくれるか。
私は、
そこに住宅会社の本当の設計力が出ると思っています。
家は、
見える部分だけでつくられているわけではありません。
むしろ、
完成すると見えなくなる部分ほど、30年後、40年後の安心を支えています。
ご縁を大切に唯一無二の家造り。
住んでからがお付き合いの始まり。
おかげさまでありがとうございます。
※eLbase工法の材料削減率や施工上の特徴は、開発元が公開している情報に基づくものです。実際の削減量・構造性能・施工条件は、建物形状、地盤、基礎設計、採用仕様などによって異なります。基礎形式は敷地条件と構造計算に基づいて個別に判断する必要があります。
お読みいただき、ありがとうございます。
もし今回の内容に少しでも共感いただけたなら、
こちらもきっとお役に立てると思います。
明工建設が選ばれる理由とは?
第1位 住む人の幸せを考え抜いた高性能住宅

明工建設の家は強い方が売れる、省エネだから売れる・・・
そんな安っぽい理由で、住宅を高性能にしているわけではありません。
高性能な家に住んでもらった先にある『家族の幸せ』を手に入れてもらいたいから高性能にしているのです。
第2位 圧倒的省エネ住宅で1,000万円以上の節約に

明工建設の考える住宅は、住むだけでお金が貯まります。
光熱費が0円以下にすることが出来る、圧倒的省エネ住宅であなたの家計を守ります。
第3位 売ることが仕事じゃない!お客様のありがとうを考えるご提案

明工建設は住宅を売ることを仕事だと考えていません。
お客様の幸せをとことん考え、その結果『ありがとう』を頂くことを仕事にしています。
その対価としてお金を頂く。これが明工建設のポリシーです。
第4位 最新の技術提供なのに、圧倒的なコスパを実現

M-THE BESTに代表されるように、明工建設の家は常に最新の技術を提供します。
それなのに誰もが納得、いやそれ以上のコスパの良さで皆様に選ばれています。
それを実現出来るのは、圧倒的な仕入れ力と無駄なお金を使わない工事力があるからです。




