石炭の値段が上がると、なぜ私たちの電気代が心配になるのか? 家づくりは世界のニュースとつながっています。

【仁藤流】中東情勢と燃料価格のニュースから考える「電気をできるだけ買わない家」

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

今日は、少し大きな話から始めたいと思います。

中東情勢。

液化天然ガス、いわゆるLNG。

そして、石炭の価格。

「仁藤さん、今日は経済評論家ですか?」

いえいえ、いつもの建築屋です(笑)。

ただ、最近のエネルギー関連のニュースを見ていると、どうしても家づくりのことを考えてしまうんです。

なぜか。

それは、世界のどこかで起きた出来事が、巡り巡って、掛川や菊川で暮らすご家庭の電気代につながっているからです。

家を建てるとき、住宅ローンの金利は気にしますよね。

建築費の値上がりも気になります。

でも、これから35年、40年と払い続ける電気代については、どこまで考えているでしょうか。

今日は、そんな話です。

石炭のニュースなんて、家づくりに関係ない?

2026年10月、国際的な石炭需要や価格に関するニュースが報じられています。

天然ガスの価格が高くなると、発電燃料として石炭が選ばれやすくなる場合があります。

一方で、石炭を生産・輸出する国にも、それぞれ事情があります。

国内需要。

生産計画。

環境規制。

輸送の問題。

いろいろな要因が重なって、燃料価格は動いていきます。

日本は、エネルギー資源の多くを海外から調達しています。

経済産業省の2024年度の確報によると、日本の発電電力量のうち、火力発電の割合は67.5%でした。

つまり、発電のかなりの部分を、石炭や天然ガスなどの燃料に頼っているわけです。

もちろん、燃料価格が上がったからといって、翌月の家庭の電気料金が同じ割合で上がるわけではありません。

電力会社の調達契約や料金制度、為替、政府の支援策なども関係します。

でも、海外の燃料価格が家計に無関係だとは言えません。

私は、ここを知っておいてほしいんです。

電気代は、自分の努力だけでは決められません

例えば、毎日節電を頑張っているご家庭があるとします。

使わない照明は消す。

エアコンの設定温度を工夫する。

古い家電を省エネ型に買い替える。

素晴らしいことです。

でも、どんなに節電を頑張っても、電気の単価そのものは自分で決められません。

海外の燃料価格が上がる。

円安になる。

電力の調達コストが変わる。

そうしたことが、家庭の支出に影響する場合があります。

これは、家づくりでも同じです。

どんなに慎重に住宅ローンを組んでも、将来の電気料金までは固定できません。

だから私は、これから家を建てる方に、少し違う質問をしたいんです。

「将来、電気代が上がったとき、その家はどのくらい影響を受けますか?」

これです。

家は、電気をたくさん使う箱でなくてもいい

住宅の省エネというと、太陽光発電を思い浮かべる方が多いかもしれません。

もちろん、太陽光発電は大切な選択肢です。

でも、私はその前に考えたいことがあります。

そもそも、その家はどれだけ電気を必要とするのか。

例えば、冬。

暖房をつけても、窓や壁、床から熱が逃げてしまう家。

暖めても暖めても寒い。

それでは、たくさんのエネルギーが必要になります。

反対に、断熱や気密、窓の性能をしっかり考えた家なら、同じような快適さを、より少ない暖冷房エネルギーで実現できる可能性があります。

もちろん、実際の消費電力量は暮らし方や設備、気象条件によって違います。

でも、基本的な考え方は変わりません。

電気をたくさんつくる前に、電気を無駄にしにくい家をつくる。

私は、ここが出発点だと思っています。

「電気を買わない家」という言葉に込めていること

明工建設では、スマートオフグリッドハウスという考え方を提案しています。

太陽光発電で電気をつくる。

蓄電池に電気を蓄える。

HEMSなどを使って、電気の使い方を管理する。

そして、断熱・気密性能を高め、そもそも使うエネルギーを抑える。

こうした仕組みを組み合わせて、購入する電気をできるだけ少なくする住まいを目指しています。

私たちは、これを分かりやすく「電気を買わない家」と表現しています。

ただし、ここは誤解してほしくありません。

すべての家で、365日、電力会社から一切電気を買わずに暮らせるという意味ではありません。

雨の日もあります。

冬は日照時間が短くなります。

家族が増えれば電気の使用量も変わります。

蓄電池には容量や寿命があります。

実際にどれだけ自給できるかは、屋根の条件、設備容量、地域の気候、生活パターンなどによって変わります。

だから私は、「必ず電気代がゼロになります」という説明はしたくありません。

そうではなく、

買う電気を減らせる家を、最初から計画する。

ここに価値があると思っています。

世界の石炭価格は変えられない。でも、家の性能は選べます

ここで、少し考えてみてください。

私たちは、海外の石炭価格を決められません。

中東の情勢も変えられません。

為替相場も、自分の都合では動きません。

でも、家を建てるときに選べることはあります。

どのくらいの断熱性能にするか。

どんな窓を選ぶか。

太陽光発電を設置するか。

蓄電池を組み合わせるか。

将来の設備交換をどう考えるか。

そして、住んでからの電気代をどのくらいに抑えたいか。

これは、家づくりの段階で検討できることです。

私は、ここが大きな違いだと思っています。

世界のニュースに振り回されるだけでなく、自分たちの暮らしの中で、できる備えを考える。

家づくりには、そういう役割もあるんです。

35年間の電気代、計算したことがありますか?

ここで、少し数字の話をしましょう。

仮に、毎月の電気代が3万円だったとします。

1年間で36万円。

35年間なら、1,260万円です。

もちろん、これは毎月3万円が35年間続くという単純計算です。

将来の電気料金がどうなるかは分かりません。

家族構成や暮らし方も変わります。

それでも、1,260万円という数字を見ると、なかなか大きいと思いませんか。

住宅ローンの返済額は、何度も計算するのに。

電気代の35年間の総額は、あまり計算しない。

私は、少し不思議に思うんです。

ただし、太陽光発電や蓄電池を付ければ、この1,260万円が丸ごと浮くわけではありません。

設備を導入するためのお金が掛かります。

メンテナンスも必要です。

将来、パワーコンディショナーや蓄電池などを交換する可能性もあります。

だから、本当に比較すべきなのは、

設備を入れない場合の支出。

設備を入れた場合の支出。

そして、それぞれの初期費用と将来の更新費用です。

ここまで計算して、初めて経済性が見えてきます。

家づくりで大切なのは、最初に安く買うことだけではなく、長く住んだときにどうなるか。

いつもの生涯住宅費の話ですね(笑)。

電気代の心配が減ると、暮らしの選択肢が増える

私は、電気代を抑える目的は、節約そのものではないと思っています。

例えば、毎月の家計に少し余裕ができたとします。

そのお金を何に使うでしょうか。

お子さんの教育費かもしれません。

家族旅行かもしれません。

将来のための貯蓄かもしれません。

あるいは、無理をして働く時間を少し減らして、家族と過ごす時間を増やす。

そんな選択もあるかもしれません。

家の性能が良くなることで、必ずそうした余裕が生まれると約束できるわけではありません。

でも、住まいのランニングコストを抑えることは、家計の選択肢を増やすことにつながる可能性があります。

私は、そこに住宅の価値があると思っています。

家は、建てたときに立派ならそれでいいわけではありません。

住み始めてから、家族の暮らしを支えてくれることが大切なんです。

停電のときも、家の備えが問われます

もう一つ、エネルギーの話で忘れてはいけないことがあります。

停電です。

静岡県で暮らす私たちにとって、地震や台風への備えは身近な問題です。

停電すると、照明だけでなく、冷蔵庫や通信機器、給湯設備など、いろいろなものが使えなくなる場合があります。

太陽光発電や蓄電池は、設備の仕様と条件が合えば、停電時にも役立ちます。

ただし、停電時にどの回路へ電気を送れるか、どれだけ長く使えるかは、機器の構成や蓄電量によって違います。

停電しても、いつもと全く同じ暮らしが続けられるとは限りません。

だからこそ、家づくりの段階で考えておきたいんです。

停電したとき、何を優先して使いたいのか。

冷蔵庫なのか。

照明なのか。

通信機器なのか。

夏の暑さや冬の寒さへの備えなのか。

必要なものを整理しておけば、設備の選び方も変わってきます。

これも、設備を売るためではなく、暮らしを考えるための設計です。

2026年からの制度変更も、知っておきたいところです

日本では、脱炭素に向けた制度も動いています。

2026年度からは、大規模なCO2排出事業者を対象とする排出量取引制度が本格稼働しています。

2028年度からは、化石燃料の輸入事業者などを対象とした化石燃料賦課金の導入も予定されています。

こうした制度は、企業のエネルギー調達や投資判断に関係するものです。

将来的に家庭のエネルギーコストへ影響する可能性もあります。

ただし、制度が始まったからといって、家庭の電気料金が必ず何割上がると決まっているわけではありません。

電気料金には、さまざまな要因が関係します。

だから、将来の価格を断言するのではなく、価格が上がる場合も下がる場合も考えて、家づくりを計画する。

私は、その方が誠実だと思っています。

最後に。35年先の電気代は分からないからこそ

私は、これから家を建てる皆さんに、必要以上に不安になってほしいわけではありません。

電気代が上がるから大変だ。

燃料が足りなくなるから危険だ。

だから今すぐ高価な設備を買わなければいけない。

そんな話をしたいのではないんです。

ただ、一つだけお伝えしたいことがあります。

家を建てるときに決めた性能や設備が、その後何十年もの暮らしに影響する。

これは、ぜひ知っておいてほしいんです。

例えば、断熱性能。

建てた後から大きく改善しようとすると、工事も費用も掛かります。

窓の性能もそうです。

太陽光発電や蓄電池についても、設置するかどうかだけでなく、将来の更新まで考える必要があります。

だから私は、建築費だけで住宅会社を比べてほしくありません。

住んでからの電気代はどうか。

設備の交換費用はどうか。

停電時には何が使えるのか。

そして、その家で家族がどんな暮らしを送れるのか。

そこまで聞いていただきたいんです。

世界のエネルギー価格は、これからも変わるでしょう。

上がることもあれば、下がることもあると思います。

でも、家族が安心して暮らしたいという願いは、変わりません。

だから明工建設では、これからも、できるだけ少ないエネルギーで快適に暮らせる家を考えていきたいと思っています。

電気をたくさん買わなくても、気持ちよく暮らせる。

そんな住まいを、一つの選択肢として知っていただけたらうれしいです。

ニュースを見ながら、また家づくりのことを考えてしまいました。

建築屋というのは、どうしてもそうなるんですね(笑)。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。

住んでからがお付き合いの始まり。

おかげさまでありがとうございます。


参考情報

  • ロイター、2026年10月9日:天然ガスと石炭の価格差、アジアの石炭輸入動向に関する報道
  • 経済産業省「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)」
  • 経済産業省・GX推進機構「排出量取引制度・化石燃料賦課金」

※将来の電気料金、太陽光発電量、蓄電池の経済効果、停電時の使用可能時間などは、住宅の条件や設備仕様、使用状況によって異なります。

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