こんにちは、店長です。
住宅の相談を受けていると、最近は「老後のことも考えた家にしたい」という声をよく耳にします。
特に40〜50代の方からのご相談では、
「子育ては落ち着いた。これからは夫婦ふたりの時間を大切にできる家にしたい」
「いずれは子どもが独立しても、安心して暮らせる家にしたい」
というご要望が多くなってきました。
もちろん、将来のために家の“性能”──断熱性やバリアフリー設計など──を整えることも大切です。
でもそれ以上に注目してほしいのが、家での「暮らし方」です。
今回は、老後を見据えた家づくりにおいて、“ハード”ではなく“ソフト”を重視するという視点で、お話ししたいと思います。
家の中心に「居場所」をつくる
年齢を重ねると、外出の機会が減り、家で過ごす時間が長くなります。
だからこそ、「なんとなくリビングにいる」だけではなく、自分らしく過ごせる“居場所”をつくることが大切です。
たとえば、好きな本に囲まれたコーナー。
朝日が入る窓辺の小さな椅子。
趣味の道具を並べた棚のある土間空間。
家の中にそうした“小さな喜びの場所”があるだけで、日々の満足度は大きく変わってきます。
「広い家」や「高性能な家」が幸せとは限りません。
大切なのは、“自分にとって心地よい空間があるかどうか”。
老後を見据えるなら、まずは「家の中で自分が心安らげる場所はどこか?」を考えてみることが第一歩です。
家族と、ほどよい距離感でつながる
高齢になると、家族との関係も変化します。
子どもは独立し、夫婦ふたりの時間が増える。
あるいは、いずれ子ども世帯が帰省して同居する可能性もあるかもしれません。
こうした変化に柔軟に対応できるよう、「つながり」と「距離感」のバランスを考えた空間設計が大切です。
たとえば、リビングと寝室をゆるやかに分ける間取りや、将来ワンルーム的にも使えるフレキシブルな洋室などがあれば、暮らしのかたちは変えていけます。
また、あえて「壁をつくらない」「仕切りすぎない」ことで、お互いの存在を感じながらも干渉しすぎない心地よさを得ることができます。
こうした“空間のゆとり”は、家族との良い関係を続けるためにも効果的です。
土地探しも今だけではなく、未来も見据えて
住宅建築の多くが子育て世代なので、どうしても子育てを重視した家を考えがちです。
それは土地選びもそう。
子供が通学しやすい場所は?とか、この学校に行かせたいから、とかそういった理由で土地選びが進むケースが多いです。
しかし、そんなお子様も小学校も6年すれば卒業だし、次は3年で中学校を卒業します。
それから先の高校はある程度自由になるので、建物の立地によるハンデは少なくなります。
これも変化の一つですが、こうした変化にも柔軟に対応できるよう、今だけの土地選びはしないようにしたいところ。
学校に近くなくても、同じくらいの年頃の子が多くいそうな新しい住宅地だったら安心出来ますし、それ以上に病院や駅などのインフラを重視した土地の方が、お子さんが巣立った後には便利になります。
明るい家が後々にメリットになる
土地選びで立地を重視するあまり、日当たりなどをおろそかにする人が多くいます。
確かに若いうちは暗くても問題にならないことが多いのですが、ある程度歳を重ねると、多くの不都合が出てきます。
まずは、暗いことでの健康被害です。
若い時には気力も体力も十分にあるので、気が付かない人も多いのですが、やはり明るい家に住む方が、気力も元気もある人が多いです。
暗い家は健康被害がある家とまでいくことはないかもしれませんが、相対的にみてやはり明るい家の方が、元気になりやすいです。
これは子供にもペットにも言えるようで、明るい家に住んでいるほうが健康的なメリットが多いと言った実験結果も出ています。
ただ、夜に明るい家にするのはちょっとNG。
夜に明るすぎることで体調についてデメリットがあるといった実験結果もあります。
夜は明るすぎず、暗すぎず。
そんな環境が大事です。
手間を楽しみに変える暮らしの工夫
老後というと、どうしても「体が動きにくくなる」「手間は省きたい」といった視点ばかりが語られます。
でも、“便利”を追い求めすぎると、暮らしの楽しみが減ってしまうこともあります。
たとえば、週に1回だけ土間で野菜を干す時間。
趣味として小さな庭で草花を育てること。
コーヒー豆を自分で挽く時間。
そうした“ちょっとした手間”が、暮らしにリズムと喜びを与えてくれます。
家づくりでも、あえて「自分の手を動かせる場所」や「道具に触れる時間」を確保できる空間を用意することで、暮らしの質は豊かになります。
「ラク」だけではない、「楽しい」老後のための住まいを考えてみましょう。
“これから”の時間をどう過ごすか
老後とは、何かを終えるための時間ではなく、「自分の人生を味わい直す時間」だと、私たちは考えています。
そのためには、どんな家に住むかよりも、「どんな暮らしをしたいか」が大事です。
あなたがこれから毎日を過ごす場所に、陽の光は差し込むか。
好きなものに囲まれているか。大切な人と心地よい距離で過ごせるか。
誰の目も気にせず、自分らしく深呼吸できるか。
そんな“暮らしの質”こそが、老後の幸せをつくる鍵です。
明工建設では、家の性能はもちろんのこと、「どう暮らすか」を一緒に考える家づくりを大切にしています。
人生100年時代──これから先の時間が、心地よく、安心して過ごせる場所になるよう、お手伝いできれば幸いです。
お気軽にご相談ください。住まいとともに、人生を整える家づくりを一緒に始めましょう。