ローンを『増やす会社』と『守る会社』の違いを把握しよう
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第1章:まさかの失注──A様が去った日
店長、聞いてください!A様なんですけど、当社じゃなくて他社Aにすると連絡があったんです!
えっ!?どういうこと?A様は来週契約って言ってたよね?
はい……それで私も意味がわからなくて……。
そっか……じゃあ、理由を調べる必要があるね。A様に、なぜ他社に決めたのか聞いてみた?
いえ…メールで一言『他社Aにしました』ってだけで……
それなら、これまでの信頼関係があれば本音を聞かせてくれるかもしれないよ。連絡してみて。
わかりました。思い切って聞いてみます。
── 1日後 ──
店長、A様が理由を教えてくれました。
おお、なんて言ってた?
「他社のほうが住宅ローンを頑張ってくれた」とのことでした。希望額に近づけるからって。
なるほど……A様は20代ご夫婦で、出産も控えてたよね。だから無理のない計画を一緒に組んだはずなのに。
そうなんです。でも、おそらく抑えていた理想があって、それを通せる提案に惹かれたのかなって…。
その可能性は高い。でもそれ、たぶんペアローンじゃないかな。
ペアローン…確認してみます!
── 翌日 ──
店長、やっぱりペアローンだったそうです。そして「なぜ教えてくれなかったのか」って怒られてしまいました…。
……それは悔しいね。でも本当に伝えるべきだったのは、「借りられる金額」じゃなくて「安心して返せる金額」だったんだよ。
……はい。だからこそ、この経験を無駄にしないようにしたいです。
第2章:ペアローンの“甘い顔”に潜む罠
そもそもペアローンって、簡単に言えば“2本のローン”を組むってことなんだよ。
えっ…1本じゃないんですか?
そう。夫婦それぞれが借金を背負う。住宅ローン控除はダブルで受けられるけど、その分“責任”も2倍。
メリットしか聞かされなかったら、普通は喜んじゃいそうですね…。
でもね、一方が働けなくなったら、もう片方が全部払うことになるんだよ。
うぅ…共働き前提の仕組み、ってことですね。
しかも、片方が死んでももう片方のローンは“そのまま残る”。
団信(団体信用生命保険)は片方だけ…ってことですか?
そう。銀行によっては両方に保険をかけるプランもあるけど、保険料が上がってしまうんだ。
じゃあ、万が一を考えたら、ペアローンって…怖い選択ですね。
第3章:配慮と説明のズレ──信頼の分岐点
店長、今回のことって、やっぱり“説明不足”だったんでしょうか…
説明はした。でも、“響いてなかった”のかもしれないね。
たしかに…私たちの言葉って、どう伝わってたのか…。
特に住宅ローンの話は難しいから、相手が“わかってる”かどうか、常に確かめる必要があるんだ。
相手が『はい』って言ってても、本当はわかってないこともありますよね。
そうそう。“納得”と“理解”は違うんだよ。
……伝えた“つもり”じゃダメなんですね。
だから僕ら営業の仕事って、実は“通訳”なんだよ。専門用語を暮らしの言葉に変える。
ああ…“住宅通訳者”としての自覚、もっと持たなきゃ…。
うん。それができるようになったら、失注も“財産”になるよ。
第4章:借りすぎは最大のリスク──“守る営業”を貫くために
僕らは売るためじゃなく、“守るため”に仕事してるんだよ。
はい。でも…ときどき、自信がなくなるんです。
住宅ローンってね、“たくさん借りること”がゴールじゃない。むしろ、いくらなら“守れるか”が大事。
借りた分だけ、返さなきゃですもんね…。
たとえば、他社で『あと500万借りられますよ』って言われたら、気持ちが揺れるよね。
はい…現実より夢を優先しちゃうかも…
でも、その夢が“毎月の返済地獄”に変わることだってある。
ローンで“生活を壊す”家って、誰も幸せになれないですね…
だから僕らは、必要なら“反対する”勇気も持たなきゃいけない。
はい。“本当に守れる金額”を伝える営業でいたいです。


