御前崎で家を建てる前に知ってほしい「停電と水」の話

地震に耐えるだけでは足りない。被災した翌日も家族が暮らせる「レジリエンス住宅」とは

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

今日は、御前崎でこれから家を建てる方に、少し真剣に考えていただきたい話をします。

「大きな地震が来た時、その家は倒れませんか?」

もちろん大切です。

でも私は、もう一つ質問したい。

「倒れなかったその家で、翌日から家族は暮らせますか?」

電気が来ない。

水が出ない。

真夏なのにエアコンが動かない。

冷蔵庫が止まる。

スマートフォンを充電できない。

トイレが使えない。

お風呂にも入れない。

住宅そのものが無事でも、これでは生活を続けるのが難しくなります。

私はこれからの防災住宅では、

「壊れない家」から「災害後も暮らせる家」へ

考え方を一段進める必要があると思っています。

それが、今日お話しするレジリエンス住宅です。


「レジリエンス住宅」が注目される理由

レジリエンスとは、災害などの大きな変化を受けた時に、耐え、回復していく力を意味します。

住宅で考えれば、

災害に耐えること+被災後の生活を維持・回復できること

と考えると分かりやすいでしょう。

実際、2026年には国土交通省の「2050先導型住宅推進事業」に、災害時にも「住み続けられる家」を目指し、全負荷給電型蓄電池や飲料水確保などを組み合わせた住宅プロジェクトが採択されています。つまり住宅業界でも、防災を「建物が壊れないこと」だけで考えない方向が明確になってきています。

私はこれを見て、

「ようやく住宅が、建物ではなく“暮らし”を守る方向へ進んできたな」

と感じました。


なぜ御前崎では、この考え方が特に重要なのか

これは不安を煽るための話ではありません。

御前崎市自身が、地震、津波、風水害、原子力災害などを対象とした地域防災計画を策定し、2026年3月にも改定しています。

さらに国は2025年3月、南海トラフ巨大地震について新しい被害想定を公表しています。静岡県も大きな被害が想定される地域に含まれています。

御前崎市の地域防災計画に掲載されている想定でも、条件によっては地震動による全壊約2,000棟、津波による全壊約700棟など、非常に厳しい数字が示されています。もちろんこれは個々の住宅の被害を予測するものではありませんが、御前崎で家を建てる以上、災害への備えを「オプション扱い」していい地域ではないと私は考えています。

だから、

「地震が来たら考えよう」

では遅い。

家を建てる今だからできる備えがあります。


耐震等級3でも「停電」は防げない

ここが、多くの方が見落とすところです。

明工建設では耐震等級3を基本として、制振についても考えます。

建物そのものを強くする。

これは大前提です。

しかし、

耐震等級3だから電気が来るわけではありません。

地震に耐えたとしても、地域の送電設備が被害を受ければ停電する可能性があります。

水道設備が被災すれば断水もあり得ます。

御前崎市の地域防災計画でも、水道・電気・ガスなどライフラインを確保するための対応が明記されています。裏を返せば、住宅側でもライフライン途絶を想定しておく価値があるということです。

だから私が考える防災住宅には、三つの段階があります。

第一段階は、命を守る。

第二段階は、家を守る。

そして第三段階が、

暮らしを守る。

ここまで考えて初めて、本当のレジリエンス住宅になると思っています。


停電した瞬間、その家の「本当の性能」が見えてくる

例えば夏の午後に大規模停電が起きたとしましょう。

外は35℃。

太陽は照りつけている。

小さなお子さんもいる。

そんな時、

「太陽光発電が付いています」

だけで安心してはいけません。

確認してほしいのは、

停電時に、実際に何が使えるのか。

です。

冷蔵庫は?

照明は?

IHは?

エアコンは?

200V機器は?

家全体なのか、一部のコンセントだけなのか。

夜になったらどうするのか。

蓄電池は何kWhあるのか。

そして、

何kW出力できるのか。

蓄電池は「容量」だけ見ても駄目なんです。


13.3kWhあるから安心、でもない

例えば13.3kWhの蓄電池。

かなり大きな容量です。

でも住宅防災で重要なのは、

「どれだけ貯められるか」と「一度にどれだけ使えるか」は別

ということです。

水で例えるなら、

蓄電容量はタンクの大きさ。

出力は蛇口の太さです。

巨大なタンクがあっても、蛇口が細ければ大量の電気を必要とする機器を同時に動かせません。

だから明工建設では、西方モデルハウスなどで採用している13.3kWh・6kVAクラスの大容量蓄電システムのように、蓄電容量だけでなく出力や全負荷対応、200V機器への対応まで考えます。

ただし、「何日間普通に暮らせる」と一律には言えません。

これは大切なので正直に言います。

蓄電池が何日持つかは、季節、天候、太陽光の発電量、エアコンの負荷、家電の使い方によって変わります。

だからこそHEMSで、

つくる電気。

使う電気。

貯める電気。

を見える化する。

これが重要になります。


そしてEVは「移動する巨大な蓄電池」になる

さらに私は、これからの家づくりでは、

家とクルマを別々に考える時代ではない

と思っています。

太陽光発電。

蓄電池。

V2H。

EV。

HEMS。

これらをつなぐ。

普段は自宅でつくった電気をクルマへ入れて走る。

必要に応じて、災害時には対応するEVの電池からV2Hを介して住宅へ電気を戻す。

つまり、

クルマが交通インフラであると同時に、家庭のエネルギーインフラにもなる。

以前お話しした「仁藤流EVライフ」も、実はここにつながっています。

私にとってEVは単なる環境配慮型のクルマではありません。

家のレジリエンスを高める設備の一つ

でもあるのです。


でも電気以上に困るのが「水」

そして今日、ぜひ覚えて帰ってほしいことがあります。

災害対策というと、

太陽光。

蓄電池。

EV。

という電気の話ばかりになりがちです。

でも、

人間は電気だけでは生きられません。

水です。

飲む。

料理する。

手を洗う。

歯を磨く。

トイレを流す。

身体を清潔にする。

子どもの世話をする。

生活のほとんどに水が関係しています。

だから私は、

「電気の自給」だけ考えて、水を考えていない家は、まだレジリエンス住宅として完成していない

と思っています。


飲み水と「生活用水」は分けて考える

災害時の水というと、

ペットボトルを備蓄しておけばいい。

と思うかもしれません。

もちろん飲料水の備蓄は大切です。

でも、実際に生活を始めると大量に必要になるのは、

生活用水

です。

トイレ。

洗濯。

清掃。

身体を拭く。

状況によっては入浴。

そこで雨水利用や貯水設備なども、敷地条件や家族構成に応じて検討する価値があります。

実際、住宅業界でも断水時の生活を想定した飲料水貯留システムや家庭用貯水タンクなどの提案が始まっています。

つまりこれからは、

水道が止まることまで設計する。

これも住宅設計になっていくと思います。


ただし「水を貯めればいい」ではありません

ここにも仁藤流があります。

水は、

量だけではなく質

を考えたい。

普段の明工建設の家では、ビューティーアクアなどを使って家中の水環境まで考えています。

なぜ住宅会社がそこまで水にこだわるのか。

人間の暮らしは、

空気と水と電気

でできているからです。

どれか一つだけ高性能でも、私は「豊かな家」だとは思いません。

だから普段の水質と、災害時の水量。

両方を考える。

これが明工建設の考える「水の設計」です。


高断熱・高気密は「省エネ設備」だけではない

そして災害時に意外な力を発揮するのが、

家そのものの断熱・気密性能です。

同じ蓄電池を搭載していても、

エアコンをガンガン動かさなければ室温を維持できない家と、

小さなエネルギーで快適性を維持できる家では、

停電時の電気の価値がまったく違います。

だから私は、

蓄電池を大きくする前に、家の燃費を良くする。

これが順番だと思っています。

穴の空いたバケツを大きな蛇口で満たし続けるより、

先に穴を塞ぐ。

住宅も同じです。

断熱。

気密。

日射遮蔽。

換気。

湿度管理。

その基本性能を整えたうえで、

太陽光+蓄電池+V2H

を組み合わせる。

だから明工建設では、C値も現場で測ります。

「高気密のつもり」ではなく、

実際に測って確認する。


災害時こそ「第一種熱交換換気」の意味が出てくる

前回のブログで第三種換気について詳しくお話ししました。

これも防災とつながっています。

停電・災害時には、使える電力は有限です。

だったら、

せっかく冷やした空気、暖めた空気をできるだけ捨てない。

その思想が重要になります。

第一種熱交換換気は、換気しながら排気から熱を回収し、外気負荷を抑える仕組みです。

明工建設ではさらに、給気・排気と気密性能を組み合わせて、正圧側の空気環境をつくることを重視しています。

ここでも、

断熱は断熱屋さん。

換気は設備屋さん。

太陽光は電気屋さん。

蓄電池はメーカーさん。

とバラバラに考えてはいけない。

家全体を一つのシステムとして設計する。

これが非常に重要です。


「停電してもエアコンが動く」の前に考えること

よく、

「蓄電池があるから停電でもエアコンが使えます」

と言います。

でも私はもう一歩考えます。

そのエアコンを、何時間動かさなければならない家なのか。

例えば、

断熱性能が低い。

日射が入り続ける。

屋根裏が猛烈に暑い。

湿度も高い。

そんな住宅では、停電時にも大量の電気が必要になります。

反対に、

家そのものが外部環境の影響を受けにくく、

温度だけでなく湿度までコントロールされていれば、

少ないエネルギーで快適性を維持しやすい。

つまり、

住宅性能そのものが「見えない蓄電池」になる。

私はそう考えています。

電気を貯めるだけではなく、

快適な温度を家そのものに貯める。

これも立派な防災です。


災害後、自宅に残れる価値を考えてほしい

レジリエンス住宅の本当の価値は、

「停電してもテレビが見られる」

という話ではありません。

私は、

自宅が避難所になれること

だと思っています。

もちろん津波や火災、建物被害など危険がある場合は、行政の避難情報に従って安全な場所へ避難することが最優先です。

しかし、自宅の安全が確認できている場合には、

自宅で眠れる。

家族だけの空間がある。

子どもが落ち着ける。

トイレを使える。

冷蔵庫が動く。

スマートフォンを充電できる。

暑ければエアコンを使える。

ペットとも一緒にいられる。

こうした在宅避難できる可能性には、大きな価値があります。

住宅業界でも、災害後の停電・断水によって住宅自体が無事でも避難所生活が必要になる場合があることを踏まえ、「災害後も住み続ける」ことをレジリエンスの重要な要素として捉える動きがあります。


防災で一番大切なのは「設備」ではありません

ここまで、

耐震。

制振。

断熱。

気密。

換気。

太陽光。

蓄電池。

V2H。

HEMS。

水。

いろいろお話ししました。

でも、一番大切なのは設備ではありません。

土地です。

これを忘れてはいけません。

津波浸水想定区域なのか。

洪水は?

土砂災害は?

液状化は?

道路は寸断されないか。

避難場所はどこか。

海抜は?

どれほど高性能な家でも、

土地そのもののリスクを設備だけでゼロにはできません。

御前崎市も防災マップ、洪水浸水想定区域、公共施設等の海抜などを公開しています。家を建てる前に、必ず確認してほしい情報です。

私は土地探しの段階から、

「この土地に、災害後も家族が暮らせる家をつくれるのか」

という視点を持ってほしいと思います。


これから住宅会社へ行ったら、こう聞いてください

「耐震等級はいくつですか?」

だけでは足りません。

「停電したら、この家のどこまで電気が使えますか?」

「200Vのエアコンは動きますか?」

「蓄電池は何kWhで、出力は何kWですか?」

「太陽光から停電時にも充電できますか?」

「EVから家へ電気を戻せますか?」

「断水したら、家族4人で水をどう確保しますか?」

「真夏に停電した場合、室温上昇をどこまで抑えられる家ですか?」

「ハザードマップまで含めて土地を提案してくれますか?」

こう聞いてみてください。

カタログを見なくても、

その住宅会社が本当に防災を考えているかが分かります。


私は「防災設備を売りたい」のではありません

ここを最後にお伝えしたい。

太陽光を売りたいわけではありません。

蓄電池を売りたいわけでもない。

V2Hを売りたいわけでもない。

高断熱住宅という言葉を売りたいわけでもありません。

私がつくりたいのは、

何かが起きた時、お施主様から「あの時ここまで考えてくれていて良かった」と言っていただける家です。

晴れた日は、

太陽の電気で暮らす。

余った電気を貯める。

EVを走らせる。

家の中は少ないエネルギーで快適にする。

きれいな空気と水で暮らす。

そして災害が起きた時には、

その普段使っている設備が、そのまま家族を守る。

私はこれが理想だと思っています。

防災のためだけに買って、普段は眠っている設備ではない。

普段は家計と快適性を助け、

災害時には命と暮らしを助ける。

これが仁藤流の、

「健康・省エネ・防災を分けない家づくり」

です。


「地震に強い家」の、その先へ

御前崎で家を建てるなら、

私は耐震だけでは足りないと思っています。

地震に耐える。

その後、

電気がある。

水がある。

暑さ、寒さをしのげる。

家族が眠れる。

情報を得られる。

生活を続けられる。

そこまで考える。

家は、地震の瞬間だけ家族を守れば仕事が終わるわけではありません。

その翌朝も、その翌日も、その先も家族を守る。

それが本当の住宅性能ではないでしょうか。

だからこれから家を建てる方には、住宅会社へぜひ聞いていただきたい。

「この家は災害に耐えますか?」

そして、その次に、

「では、災害の翌日から私たち家族は、この家でどう暮らせますか?」

その質問に具体的な答えを持っている住宅会社なのか。

そこまで比較してから家を選んでも、決して遅くありません。

明工建設では、御前崎という土地で長く家づくりをしてきたからこそ、

空気と、水と、電気。

そして構造、温熱環境、エネルギーまで一つにつなげて考える家づくりを、これからも追求していきます。

家族を守る家は、

「壊れない」だけで終わらない。

被災した後も、家族の暮らしを守れること。

それが私の考える、これからのレジリエンス住宅です。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。

おかげさまで、ありがとうございます。


参考情報

御前崎で土地・住宅を検討する際には、御前崎市の防災情報・ハザードマップと、内閣府の南海トラフ巨大地震に関する最新の被害想定を一度確認しておくことをおすすめします。ハザード情報は「怖がるため」ではなく、土地選びや避難計画、住宅設備の優先順位を決める材料として使うものです。

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