【仁藤流・新生活編】新築の引越しで最後に疲れ果てないために。家づくりは「家具が入って暮らし始めるまで」が設計です

皆さま、おかげさまです。
明工建設 代表取締役、一級建築士の仁藤 衛です。

家づくりも終盤になると、打合せの内容が少しずつ変わってきます。

「ソファはどこに置こうか」

「ダイニングテーブルはこれにしよう」

「子どものベッドはいつ買おう」

「新しいキッチンで最初に何をつくろう」

楽しいですよね。

何か月も、場合によっては何年も考えてきた家が、ようやく「自分たちの暮らし」になっていく瞬間です。

でも、この時期に忘れてほしくないことがあります。

それが、

引越しです。

私は、家づくりというものは、建物を完成させて鍵をお渡ししたら終わりだとは思っていません。

むしろ、

土地探し → 設計 → 工事 → 完成 → 引越し → 暮らし

ここまで一本につながって、初めて家づくりです。

今日は少し住宅性能から離れて、新築や建て替えをする方にぜひ知ってほしい、

「頑張らない引越しのつくり方」

についてお話しします。


■引越しは「頑張る」のではなく「段取り」で楽にする

引越しが近づくと、

「そろそろ全部箱に詰めなきゃ」

と思います。

仕事から帰って、

夜に段ボールを組み立てる。

休日は一日中荷造り。

子どもはいつものおもちゃを探す。

必要なものまで箱に入れてしまって、

「あれ、どこに入れた?」

となる。

そして引越し当日には、

新居へ入る前から疲れ切っている。

せっかくの新しい暮らしなのに、これはもったいないですよね。

だから私は、

「頑張って引越しする」のではなく、「頑張らなくても引越せる仕組みを先につくる」

という考え方が大切だと思っています。

これ、実は家づくりとまったく同じです。

冬に寒いから頑張って暖房するのではなく、そもそも熱が逃げにくい家をつくる。

災害が起きてから頑張るのではなく、電気や水やトイレを先に考える。

引越しも、

未来の困りごとを先回りする。

それだけで、かなり楽になります。


■実は引越し代は「家の前の道路」にも左右される

これは土地探しをしている方にも知ってほしい話です。

引越しの見積もりというと、

「荷物がどれくらいありますか?」

という話ばかりだと思われがちです。

もちろん荷物量は重要です。

でも、もう一つ確認したいのが、

「新居の前まで、どんな車両が安全に入れるか」

です。

大型の引越し車両が新居近くまで進入・駐車できるのか。

それとも小型車両へ積み替える必要があるのか。

車両を複数台に分けるのか。

家からトラックまで長い距離を人力で運ばなければならないのか。

こうした条件によって、

必要な車両。

作業員。

作業時間。

往復回数。

が変わることがあります。

つまり、

土地の道路条件は、建築工事だけでなく引越しにも影響する。

ということです。


■「4トンならこの道幅」という決め方はしない

ただし、ここには注意があります。

「道路が○mなら4トントラック」

「○m以下なら2トン」

と一律には決められません。

道路幅だけではなく、

曲がり角。

電柱。

電線。

路上駐車。

道路勾配。

橋。

重量制限。

時間帯。

トラックを停めて作業できる場所。

そして引越し会社が使用する車両寸法。

こうした条件で変わるからです。

ですから、

新築の引越しなら、

早めに引越し会社へ現地を確認してもらう。

これが確実です。


■土地を見る時に「家具の入り口」まで考えていますか?

土地探しの時、

皆さん、

南向き。

坪数。

学校。

駅。

スーパー。

価格。

ハザードマップ。

こういうところはよく見ます。

では、

「この土地に家を建てたら、冷蔵庫はどこから入れる?」

ここまで考えたことはあるでしょうか。

道路から玄関までのアプローチ。

玄関ドアの有効寸法。

廊下幅。

階段。

曲がり角。

吹抜け。

2階への大型家具。

冷蔵庫。

洗濯機。

ソファ。

ベッド。

ピアノなどの重量物。

家は完成写真を撮るためにつくるものではありません。

物を入れて、人が暮らすためにつくります。

だから、

搬入経路も立派な設計条件なんです。


■新築ほど「自分で大型家具を運ばない」

やっと完成した新居。

無垢の床。

きれいな漆喰。

新しい建具。

そこへ、

「引越し代を節約しよう」

と家族だけで大きな家具を運ぶ。

そして、

ゴン。

……。

これは悲しいです。

大型家具や大型家電については、

無理をせずプロへ任せることも検討してください。

引越し会社では、一般に搬入経路などへ養生を行いながら作業しますが、養生の範囲や特殊品への対応は会社やプランによって異なります。

特に、

ピアノ。

大型金庫。

大型水槽。

特殊な美術品。

非常に大型の家具。

などは別料金や専門業者対応になる場合があります。

見積もりの段階で伝えておくことが大切です。


■洋服は「前日まで普通に着る」という選択もある

昔の引越しは、

何日も前から、

洋服を畳んで、

箱に入れて、

新居でまた出して、

ハンガーに掛ける。

これが当たり前でした。

でも現在は、引越し会社やプランによって、

ハンガーボックス

などを貸してくれる場合があります。

クローゼットから、

ハンガーに掛けたまま移す。

新居で、

そのままクローゼットへ。

シューズケースや食器用資材などを用意している会社もあります。

ただし、無料か有料か、利用できる数量や条件は会社によって違います。

だから、

見積もりの時に聞いてみてください。

「当日使える専用資材は何がありますか?」

これだけで、

自分たちが梱包しなければならない量が見えてきます。


■仁藤流・荷造りの基本① 重いものほど小さな箱へ

ここからは、

実際の荷造りです。

まず覚えてほしいのが、

「重いものは小さく、軽いものは大きく」

です。

例えば本。

大きな段ボールいっぱいに入れると、

本当に重くなります。

持ち上げられない。

底が抜ける。

腰を痛める。

だから、

本。

食器。

書類。

こうした重いものは、

小さめの箱へ。

反対に、

衣類。

タオル。

寝具など、

比較的軽いものは大きな箱へ。

箱は、

「どれだけ入るか」

ではなく、

「人が安全に持てるか」

で考えます。


■②紐でまとめるより「積める形」にする

本や雑誌を、

紐で縛って運ぼうとする方もいます。

しかし引越しでは、

トラックの中へ効率よく積載する必要があります。

段ボールへ入れた方が、

形がそろい、

積み重ねやすく、

荷崩れも防ぎやすくなります。

もちろん引越し会社によって梱包ルールがありますので、

「これは箱に入れる必要がありますか?」

と事前確認するのが一番です。


■③荷造りは「普段使わないもの」から始める

元の原稿では、

「奥の部屋から始める」

という方法をご紹介しました。

これも一つの考え方です。

ただ私は、

もう少し実生活に合わせて、

「使用頻度の低いものから始める」

のがおすすめです。

季節外の服。

本。

飾り物。

来客用品。

趣味のもの。

ストック品。

こうしたものから箱に入れる。

反対に、

歯ブラシ。

スマートフォン充電器。

仕事用品。

子どもの学校用品。

薬。

毎日使う食器。

これらは最後まで残す。

そして箱が通路を塞がないよう、

置き場所を一か所決めておく。

これだけで、

「引越し準備のせいで生活できない」

という状態を避けやすくなります。


■④段ボールには「中身」より先に「行き先」を書く

これはぜひやってほしい方法です。

新居の間取り図を一枚用意してください。

そして、

A=LDK

B=主寝室

C=子ども部屋

D=洗面・脱衣室

E=収納

というように、

部屋へ記号を付けます。

そして段ボールにも、

「C/本棚」

「B/クローゼット」

と書く。

新居の玄関には、

同じ記号を書いた間取り図を貼る。

すると、

作業員さんが、

「これはどこですか?」

と毎回聞かなくても、

自分で判断しやすくなります。

つまり、

家族の頭の中にしかない情報を、誰でも分かる仕組みに変える。

これです。


■段ボールの文字は「上」だけではダメ

これも小さいことですが、

効きます。

段ボールの上面だけに、

「子ども部屋」

と書く。

その箱の上に、

別の箱を積む。

見えません。

だから、

側面にも書いておく。

できれば、

隣り合う2面に書いておくと、

箱の向きが変わっても確認しやすくなります。

こういう小さなことが、

引越し当日の

「これはどこ?」

を減らします。


■⑤「どこへ置くか」だけでなく「いつ開けるか」を決める

そして、

私が特におすすめしたいのが、

箱を“開封順”で分けること。

例えば、

赤=割れ物・取扱注意。

黄色=当日すぐ使うもの。

というように決めます。

黄色には、

タオル。

洗面用品。

着替え。

子どもの用品。

最低限の食器。

トイレットペーパー。

充電器。

ゴミ袋。

ハサミやカッター。

などを入れる。

すると、

新居に着いてから、

「黄色だけ開ければ、とりあえず今日生活できる」

状態をつくれます。

色の意味は引越し会社の運用と混同しないよう、事前に家族・作業員で共有してください。


■建て替えなら「仮住まいで開けない箱」をつくる

建て替えの場合、

ここがさらに重要です。

現在の家。

仮住まい。

完成した新居。

引越しが2回あります。

全部を仮住まいで開けてしまうと、

数か月後、

また全部梱包することになります。

だったら、

最初から、

「仮住まいで使うもの」

と、

「新居まで開けないもの」

に分ける。

季節や仮住まい期間によっては、

一部をトランクルーム等へ預ける方法もあります。

つまり、

引越しを1回ずつ考えない。2回を一つの工程として設計する。

これです。


■テレビ・パソコンは「抜く前」が勝負

新居へ到着して、

テレビ台を置いた。

テレビを置いた。

さて配線。

「……この黒い線、どこだ?」

よくあります。

だから、

コードを抜く前に、

スマートフォンで写真を撮ってください。

テレビ。

レコーダー。

Wi-Fiルーター。

パソコン。

ゲーム機。

オーディオ。

背面の接続状態を、

少し引いた写真とアップの写真で残す。

ケーブルの両端へ、

マスキングテープなどで番号を書いておくのもいいでしょう。

未来の自分へ、

「復旧用の施工図」を残しておく

ようなものです。


■冷蔵庫・洗濯機は「前日にコンセントを抜けばいい」とも限らない

ここは家電ごとの取扱説明書を確認してください。

冷蔵庫は、

製氷機。

給水タンク。

霜取り。

内部の水分。

などへの対応が必要になる場合があります。

洗濯機も、

給水・排水ホースなどに残った水を処理する必要があります。

機種によって手順が違うので、

引越し会社とメーカーの説明書を確認してから準備する。

これが確実です。

「前日の何時にコンセントを抜けばいい」

という一律のルールで考えない方が安全です。


■そして忘れやすいのが「新居に入る前の寸法確認」

引越し前に、

ぜひ測ってください。

冷蔵庫本体だけではありません。

玄関。

廊下。

室内ドア。

階段。

曲がり角。

冷蔵庫置場。

洗濯機パン。

家具設置場所。

そして、

搬入時に必要な余裕。

「置ける寸法」と、

「そこまで運べる寸法」は違います。

これは新築設計の段階から確認しておくと、

さらに安心です。


■引越し手続きは「10日前から」ではなく、もっと早く一覧化する

住所変更関係も、

引越し直前に全部やろうとすると大変です。

ただし、

「10日前にこれ」

「3日前にこれ」

と一律には決められません。

市区町村をまたぐのか。

同じ市内なのか。

会社員なのか。

自営業なのか。

子どもの学校は変わるのか。

車を持っているのか。

によって違います。

だからおすすめなのは、

引越し日が決まったら、手続き一覧を先につくること。

例えば、住民異動、郵便、電気・水道・ガス、インターネット、学校・保育関係、勤務先、保険、金融機関、免許・車関係などです。

行政手続きには法定期限があるものもありますし、オンラインで対応できるものも増えています。実際の期限や方法は、転出元・転入先の自治体や各契約先の最新案内を確認してください。


■ネット回線は意外と早めに確認した方がいい

これは現代の引越しで、

かなり重要です。

電気。

水道。

ガス。

これだけではありません。

今は、

インターネットも生活インフラです。

在宅勤務。

学校関係。

テレビ。

スマート家電。

HEMS。

防犯カメラ。

さまざまなものがネットにつながります。

新築では回線工事や事業者側の手続きに時間がかかる場合があります。

ですから、

「引越してから申し込もう」

ではなく、

完成予定が見えてきた段階で、

住宅会社と回線経路・引込位置を確認しておく。

これも、

これからの家づくりでは大切です。


■新居の「初日セット」を一つだけ別にする

黄色い箱とは別に、

私は、

家族一つ、

初日セット

を用意しておくのもいいと思います。

引越し当日の夜、

本当に必要なものだけ。

歯ブラシ。

タオル。

着替え。

常用薬。

スマートフォン充電器。

トイレットペーパー。

ティッシュ。

ゴミ袋。

最低限の食器類。

子どものお気に入りのもの。

翌朝必要な仕事・学校用品。

これだけは、

トラックの奥へ行ってしまわないよう、

家族が管理する。

引越し初日の目標は、

全部片付けることではありません。

「お風呂に入って、歯を磨いて、安心して眠れる」

これで十分です。


■引越し当日に全部片付けようとしない

これも大切です。

せっかく新居へ来たから、

今日中に全部開けよう。

これは、

かなり疲れます。

新築初日の目的は、

モデルハウスのように完成させることではありません。

生活を立ち上げること。

だから、

最初は、

寝る。

食べる。

お風呂。

トイレ。

充電。

翌日の着替え。

これだけできればいい。

残りは、

翌日から少しずつ。

家づくりに何か月も掛けたのですから、荷ほどきだけ一日で完成させる必要はありません。


■ここで私は、家づくりと引越しは同じだと思う

今回、

なぜ住宅会社のブログで、

ここまで引越しの話をするのか。

理由があります。

引越しを考えると、

いい家とは何かが、

よく見えてくるからです。

例えば、

大きな冷蔵庫が入らない玄関。

収納はたくさんあるけれど、

段ボールを持って通れない動線。

家具を置いたらコンセントが隠れる。

Wi-Fi機器を置く場所がない。

引越し車両を停める場所がない。

どれも、

図面上では家が完成しています。

でも、

暮らしは完成していない。

家は、

図面を完成させる仕事ではありません。

人の生活を設計する仕事です。


■「住んでからがお付き合いの始まり」は、引越しの日から始まる

明工建設では、

いつも、

「住んでからがお付き合いの始まり」

とお伝えしています。

これは、

何か壊れたら修理します、

というだけの意味ではありません。

本当は、

家が完成して、

家具が入り、

子どもが走り回り、

料理をして、

洗濯物を干して、

夜になって家族が眠る。

そこから、

住宅の本当の評価が始まる。

という意味でもあります。

だから、

引越しも家づくりの一部なんです。


■仁藤流の結論。「いい引越し」と「いい家」は、どちらも先回りで決まる

引越し当日に、

ものすごく頑張る。

それより、

3週間前に30分考えておく。

道路を確認する。

搬入経路を測る。

引越し会社に現地を見てもらう。

専用資材を確認する。

重いものは小さい箱。

段ボールには部屋番号。

文字は側面にも書く。

すぐ開ける箱を分ける。

配線は写真を撮る。

初日セットをつくる。

行政やライフラインの手続きを一覧にする。

一つ一つは、

大したことではありません。

でも、

小さな「先回り」を積み重ねると、未来の大きな苦労が減ります。

これって、

まさに家づくりそのものだと思うんです。


家を建てる前に、

断熱を考える。

地震が来る前に、

耐震を考える。

停電する前に、

太陽光や蓄電池を考える。

住んでから困る前に、

収納や家事動線を考える。

そして、

引越し当日に困る前に、

搬入と荷造りを考える。

未来の自分と家族が頑張らなくてもいいように、元気な今の自分が少しだけ考えておく。

私は、

これが設計の本質だと思っています。

新築住宅の完成が近づいている皆さん。

引越しは、

家づくりの最後の面倒な作業ではありません。

新しい暮らしを始める、最初のイベントです。

だから、

疲れ切った顔ではなく、

「今日から、この家で暮らすんだな」

と家族で笑える日にしてほしい。

土地探しから、

設計。

工事。

完成。

引越し。

そして、その先の暮らしまで。

一本につなげて考える。

明工建設は、

そんな家づくりを大切にしています。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。

住んでからがお付き合いの始まり。

おかげさまでありがとうございます。

新築の引越しで最後に疲れ果てないために。家づくりは「家具が入って暮らし始めるまで」が設計です - YouTube

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