EVは「電池を大きくすればいい」ではない。スズキの新発想から見えてくる、これからの家づくりの答え

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

今日は「車」の話から始めます。

でも、最後まで読んでいただくと、これは車の話ではなく、これから家を建てる人にとって、とても大切な住宅の話だと気づいていただけると思います。

先日、スズキが初の軽乗用EVとして「e SKY」という考え方のモデルを発表した、という興味深い情報に触れました。

※ここでは、いただいた記事に記載されたプロトタイプ情報を前提にお話しします。市販時の正式仕様や名称は変更される可能性があります。

私はその内容を読んだ時、

「これ、明工建設がスマートオフグリッドハウスで考えてきたことと、根っこの思想がよく似ているな」

と思ったんです。

それは何か。

大きくすることが、高性能なのではない。

必要なエネルギーそのものを減らし、限られたエネルギーを最大限に生かす。

今日はそんな話です。


■EVの競争は「電池をたくさん積む競争」になっていないでしょうか?

EVには、一つの分かりやすい価値があります。

「何km走れるのか?」

航続距離ですね。

航続距離を伸ばそうと思ったら、一番分かりやすい方法があります。

バッテリーを大きくすればいい。

20kWhより30kWh。

30kWhより40kWh。

もっと積めば、もっと走れる。

一見すると、とても合理的です。

でも、ここで少し考えてみてください。

バッテリーを大きくすると重量が増えます。

重量が増えれば、それを動かすためのエネルギーも増える。

価格も上がる。

資源もたくさん使う。

つまり、

航続距離を伸ばすために電池を増やし、その重くなった電池を運ぶためにも電気を使う。

そんな矛盾が生まれてきます。

これは住宅でも同じなんです。


■「大きな設備を付ければ快適な家」という住宅業界の常識

例えば、夏暑い家があるとします。

普通なら、

「もっと大きなエアコンを付けましょう」

となります。

冬寒ければ、

「暖房能力を上げましょう」

電気をたくさん使うなら、

「もっと大きな太陽光を載せましょう」

夜まで電気が足りなければ、

「もっと大きな蓄電池にしましょう」

もちろん必要な容量は確保しなければいけません。

しかし私は、昔からここに疑問があります。

そもそも、そんなにエネルギーを必要とする家でいいのでしょうか?

穴の開いたバケツに水を入れて、

「水が足りないから、もっと大きな蛇口にしましょう」

と言っているようなものです。

先に穴を塞いだ方がいいですよね。

住宅なら、それが、

断熱、気密、日射制御、換気、空気の流れ、設備効率。

家そのものが必要とするエネルギーを小さくする。

そのうえで太陽光や蓄電池を組み合わせる。

私は、この順番がものすごく大切だと思っています。


■スズキが考えたのも「電池を増やす前に、使うエネルギーを減らそう」

いただいた記事によれば、e SKYの面白さはここです。

26kWhという比較的コンパクトなLFPバッテリーを使いながら、約310kmという航続距離を狙っている。

そのために何をしたのか。

車を軽くする。

EV専用骨格をつくる。

モーター、インバーター、減速機を一体化したeAxleを小型化する。

車高を抑えて空気抵抗を減らす。

つまり、

「もっと電池を積もう」ではなく、「どうすれば少ない電気で遠くまで行けるのか?」

を徹底的に考えているわけです。

私はここに、日本のものづくりらしい思想を感じます。

1g。

1mm。

小さな無駄を一つずつ削っていく。

派手ではありません。

でも、こういう技術の積み重ねが最終的には大きな違いになる。

そしてこれは、明工建設が考える家づくりにも、そのまま当てはまります。


■明工建設が目指しているのは「電気をたくさんつくる家」ではありません

私たちはスマートオフグリッドハウスという家づくりを進めています。

「オフグリッド」と聞くと、

電線を切って完全自給自足する家?

と思われる方もいるでしょう。

違います。

電力会社とはつながっている。

でも、

できる限り電力会社に依存しなくても暮らせる家。

これが私たちの考えるスマートオフグリッドです。

そのために太陽光発電を載せる。

蓄電池を備える。

AI・HEMSなどを使ってエネルギーを管理する。

将来的にはEVとV2Hも大きな役割を担います。

でも、その前に大切にしていることがあります。

家そのものを省エネルギーにしておくことです。

ここを飛ばしてはいけないんです。


■断熱と気密は、実は「住宅の電費性能」です

車には「燃費」や「電費」があります。

だったら家にも、本当は同じ考え方が必要だと思っています。

明工建設では高い断熱性能を確保し、全棟で気密測定を行い、C値0.3以下を一つの基準として家づくりをしています。

なぜそこまで気密にこだわるのか。

理由は単純です。

せっかくつくった快適な温度を、外へ逃がしたくないから。

夏、エアコンで冷やした空気。

冬、暖房でつくった暖かさ。

それを隙間からどんどん逃がしていたら、設備を大きくしてもエネルギー消費は減りません。

車で例えるなら、

アクセルを踏みながらブレーキも踏んでいるようなものです。

だから明工建設は、

「大きな設備で無理やり快適にする」

のではなく、

「そもそも小さなエネルギーで快適になる家をつくる」

という考え方を大切にしています。


■そして「正圧」という、もう一つの考え方

明工建設の特徴は、断熱と気密だけではありません。

私が非常に大切にしているのが、

家の中の空気をどうコントロールするか

ということです。

高気密住宅だから快適になるわけではありません。

高気密になればなるほど、換気設計が重要になります。

だから明工建設では、給気と排気をきちんとコントロールしながら、室内を正圧側に保つという考え方を採用しています。

花粉やホコリ、湿気などを、建物の意図しない隙間から吸い込みにくい環境をつくる。

つまり私たちが考えているのは、

断熱材の厚さだけでも、

UA値だけでも、

C値だけでもありません。

「熱・空気・湿度・エネルギー」を一つのシステムとして考える家づくりです。

ここが大切なんです。


■そしてEVが加わった時、家と車の境界がなくなっていく

今回のe SKYの記事を読んで、もう一つ面白いと思ったことがあります。

これからEVが普及すると、

「車を買うこと」と「家を建てること」が別々ではなくなる

ということです。

今まで車はガソリンを入れて走るもの。

家は電力会社から電気を買うもの。

完全に別々でした。

ところがEVになると違います。

昼間、屋根の太陽光で発電する。

家で使う。

余った電気を蓄電池へ貯める。

EVにも充電する。

そしてV2H対応のEV・設備であれば、必要に応じてEVに貯めた電気を家へ戻すこともできる。

するとEVは、

「走る家電」ではなく「走る蓄電池」

になります。

ここまで来ると、

太陽光。

住宅用蓄電池。

HEMS。

EV。

V2H。

これらを別々の商品として考える方がおかしくなってくる。

全部が、

家族のエネルギーシステム

になるんです。


■もし電気が止まった夜、あなたのEVに電気が残っていたら?

少し想像してください。

大型台風が直撃しました。

午後8時。

突然、地域が停電する。

外を見ると真っ暗です。

でも、自宅には太陽光があります。

蓄電池があります。

さらにV2Hにつながった十分な電力を残したEVがある。

冷蔵庫が使える。

照明がつく。

スマートフォンを充電できる。

システム容量や停電時出力の範囲内なら、空調なども使える。

子どもたちはいつものリビングにいる。

お父さん、お母さんも落ち着いていられる。

外では非常事態が起きている。

それでも、

家の中では「日常」が続いている。

私は、これがこれからの防災住宅だと思っています。


■明工建設が守りたいのは「建物」ではありません

耐震等級3。

制振。

高断熱。

高気密。

正圧換気。

太陽光。

蓄電池。

HEMS。

V2H。

一つ一つを見ると、住宅設備や性能の話に見えるかもしれません。

でも、私たちが守りたいのは設備ではありません。

建物ですらありません。

その家で暮らしている家族の日常です。

朝起きる。

顔を洗う。

ご飯を食べる。

仕事へ行く。

子どもが学校へ行く。

家に帰る。

お風呂に入る。

家族で笑う。

そして安心して眠る。

災害が起きた時にも、エネルギー価格が上がった時にも、できる限りその「当たり前」を失わない。

だから私は、住宅の性能を考え続けています。


■高性能とは「たくさん付けること」ではない

今回のスズキの発想から、これから家を建てる方にぜひ覚えておいていただきたいことがあります。

高性能=大容量ではありません。

高性能=高価格でもありません。

本当の高性能とは、

少ないエネルギーで、大きな仕事をすること。

これはEVでも住宅でも同じです。

断熱性能を高める。

隙間を減らす。

日射をコントロールする。

換気を最適化する。

小さなエネルギーで快適になる家をつくる。

その上で太陽光から電気をつくる。

余った電気を貯める。

必要な時間に使う。

EVにも貯める。

そして必要なら家へ戻す。

この順番で考えるから、スマートオフグリッドという発想が生きてくるんです。


■家を建てる「今」ではなく、10年後を想像してください

これから家を建てる方には、一度だけ10年後を想像していただきたいんです。

2036年。

あなたの家の駐車場にはEVが停まっているかもしれません。

屋根では太陽光が発電している。

家のAIが天気予報や電力状況を見ながら、蓄電池や設備をコントロールしている。

昼間につくった電気で車を走らせる。

夕方になれば、貯めておいた電気で家族が暮らす。

電力会社から買う電気は最小限。

そして台風や地震で地域が停電しても、

「うちは大丈夫だよ」

と子どもに言える。

私は、そんな家を今からつくっておきたいんです。

住宅は今日だけを考えて建てるものではありません。

30年、40年、50年と家族を守るものです。

だから、

未来が来てから対応するのでは遅い。

まだ多くの人が必要性に気づいていない時から準備する。

それが、住宅会社の仕事ではないでしょうか。


■「大きくする」時代から「賢くする」時代へ

EVも住宅も、これから大きく変わります。

大きな電池。

大きな設備。

大きなエアコン。

大量のエネルギー。

そんな「足し算」だけではなく、

必要なエネルギーそのものを減らし、つくったエネルギーを無駄なく使う。

量ではなく、効率。

消費ではなく、自給。

設備単体ではなく、家全体の最適化。

今回のスズキの記事を読んで、改めて思いました。

明工建設が取り組んできたスマートオフグリッドハウスも、目指している方向は同じです。

未来を予言することはできません。

でも、

未来に起こりそうな変化を考えて、今から備えることはできます。

10年後、電気の使われ方が変わった時。

EVが当たり前になった時。

電気料金の仕組みが変わった時。

そして、もし大きな災害が起きた時。

その時になって、

「この家を選んでおいて、本当に良かった」

と言っていただける家をつくる。

それが私たち明工建設の考える、縁あるお客様への責任です。

家は、家族を雨風から守る「箱」から、

エネルギーをつくり、貯め、空気を整え、災害時にも暮らしを支える生命維持装置のような存在へ。

住宅の当たり前は、もう変わり始めています。

あなたがこれから建てようとしている家は、「今の常識」で建てる家でしょうか。

それとも、

まだ見えていない10年後、20年後の家族の暮らしまで守る家でしょうか。

その違いに気づいた時、家選びの基準もきっと変わってくると思います。

ご縁を大切に、唯一無二の家造り。

おかげさまでありがとうございます。

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