家は晴れた日に選ぶ。でも、本当の実力は雨の日に分かる。台風30号のニュースを見て思ったこと

【仁藤流】掛川市で家を建てるなら、間取りの前に「水の行き先」を考えてほしいんです

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

今日は、台風の話です。

2026年10月23日、大型で強い台風30号が先島諸島に接近し、宮古島地方や八重山地方では線状降水帯が発生する可能性があるというニュースが報じられました。

その後、九州方面へ近づく可能性も伝えられています。

もちろん、台風の進路は変わりますし、この記事を書いている時点の予報が、そのまま現実になるとは限りません。

でも、私はこういうニュースを見ると、つい家づくりのことを考えてしまうんです。

「その土地に大雨が降ったら、水はどこへ行くんだろう?」

これです。

建築屋というのは、テレビで台風のニュースを見ていても、屋根の納まりや雨どいのことを考えてしまうんですね(笑)。

でも、これから掛川で家を建てる方には、ぜひ知っておいてほしい話なんです。

家を見に行く日は、だいたい晴れています

皆さん、土地を見に行くときは、どんな日に行きますか?

たいていは、晴れた日ですよね。

青空が広がっていて、日当たりがよくて、風も気持ちいい。

「ここにリビングをつくったら、気持ちよさそうだね」

「庭でバーベキューもできそうだね」

そんな会話になると思います。

いいですよね。

私も、そういう家づくりの話は大好きです。

ただ、現場監督として40年ほど建築に関わってきた私は、もう一つ考えます。

「ここに一時間で強い雨が降ったら、どうなるだろう?」

道路から水が入ってこないか。

隣の土地から雨水が流れ込まないか。

敷地に降った雨は、きちんと排水できるか。

玄関の前に水がたまらないか。

晴れた日に見ているだけでは、なかなか分からないことなんです。

だから私は、土地選びは日当たりだけでは決めてほしくないと思っています。

台風で怖いのは、風だけではありません

台風というと、強い風を思い浮かべますよね。

屋根が飛ばないか。

窓ガラスが割れないか。

庭の物が飛ばされないか。

もちろん、それも大切です。

でも、今回のニュースで気になるのは、線状降水帯による大雨です。

線状降水帯というのは、発達した雨雲が次々と発生し、ほぼ同じ場所に強い雨を降らせ続ける現象です。

短い時間に大量の雨が降ると、排水路や河川の処理能力を超えてしまうことがあります。

普段は何でもない道路に水がたまる。

小さな水路があふれる。

低い場所に水が集まる。

こういうことが起こり得るんです。

掛川市も、場所によって地形や水の流れが違います。

海に近い地域もあれば、川の近く、山のふもと、住宅地の低い場所もあります。

ですから、掛川市だから一律に危険ということではありません。

大切なのは、自分たちが建てようとしている土地に、どんなリスクがあるのかを知ることです。

私が土地を見るとき、まず気になるのは道路との高さです

例えば、道路より敷地が低い土地があります。

必ずしも悪い土地というわけではありません。

でも、大雨のときには、道路を流れてきた水が敷地に入りやすい条件になっていないか、確認したいところです。

反対に、道路より高い土地なら、それだけで安心かというと、そうとも限りません。

背後に斜面があったり、周囲の土地から水が集まる形になっていたりする場合もあります。

つまり、土地の高さというのは、自分の敷地だけ見ても分からないんです。

周りとの関係が大切なんですね。

私は、家づくりも人間関係に少し似ていると思っています。

自分のことだけ考えていても、うまくいかない。

周りとの関係を見て、初めて分かることがある。

土地も同じです(笑)。

雨水は、家の外でどう処理するかが大切です

家を建てるとき、キッチンやお風呂の配管は気にされますよね。

でも、雨水の排水計画については、あまり質問されないかもしれません。

屋根に降った雨を、雨どいで受ける。

縦どいを通して、雨水ますへ流す。

そこから、適切な排水先へ流していく。

こうした仕組みが必要になります。

ただし、強い雨が降ったときには、排水先の水位が上がったり、排水能力が不足したりする可能性もあります。

だから、図面の上で排水管を一本引けば終わり、という話ではないんです。

敷地の勾配。

雨水ますの位置。

排水先の条件。

点検や清掃のしやすさ。

こうしたことまで考える必要があります。

見えない部分ですが、住んでからの安心に関わる大切なところです。

高気密・高断熱でも、雨漏りを防げるとは限りません

最近は、住宅の断熱性能や気密性能に関心を持つ方が増えました。

UA値はいくつですか。

C値はいくつですか。

断熱等級はいくつですか。

いいことだと思います。

私も数字は大切にしています。

でも、ここで一つ覚えておいてほしいんです。

気密性能が高いことと、雨水が入らないことは、同じではありません。

雨水を防ぐためには、屋根や外壁、窓まわりの防水設計と施工が必要です。

特に、強い風を伴う雨では、普段とは違う方向から雨水が吹き付けることがあります。

窓の周囲。

外壁の取り合い。

屋根の端部。

バルコニーの防水部分。

こうしたところは、設計と施工の両方が大切です。

カタログの性能数値だけでは分からない、現場の仕事なんです。

だから私は、住宅会社を選ぶときに、完成したモデルハウスだけでなく、工事中の現場も見ていただきたいと思っています。

以前からお話ししていますが、モデルハウスが完成した料理なら、工事中の現場は厨房です。

どんな材料を使って、どう施工しているのか。

そこに、その会社の考え方が表れると思うんです。

窓の大きさだけでなく、台風のときのことも考えたい

大きな窓のあるリビング。

明るくて、開放感があって、いいですよね。

私も好きです。

ただ、窓を考えるときには、台風への備えも忘れたくありません。

例えば、飛来物への対策です。

強い風で物が飛んできて、窓に当たることがあります。

そこで、シャッターや雨戸、飛来物対策に適したガラスなどを検討する場合があります。

ただし、すべての窓に同じ設備が必要というわけではありません。

窓の位置や大きさ、周囲の環境、予算によって考え方は変わります。

シャッターにも、耐風性能や使い方の条件があります。

だから、単純に「シャッターを付ければ絶対安心」とは言えません。

大切なのは、その土地と建物に合った対策を考えることです。

停電したとき、家で何ができるでしょうか

台風で心配なのは、大雨や強風だけではありません。

停電もあります。

冷蔵庫。

照明。

スマートフォンの充電。

給湯設備。

夏ならエアコンも気になりますよね。

明工建設では、太陽光発電や蓄電池を組み合わせたスマートオフグリッドハウスという考え方を提案しています。

普段は、購入する電気をできるだけ少なくする。

そして、停電時にも、設備の仕様や蓄電量に応じて必要な電気を使えるように考える。

こうした住まいです。

ただし、太陽光発電や蓄電池があれば、どんな災害でも普段どおり暮らせるわけではありません。

台風で設備が損傷することもあります。

長雨が続けば、太陽光発電量は少なくなります。

蓄電池の電気も、使えば減っていきます。

だからこそ、設備の容量だけでなく、

「停電したとき、何を優先して使いたいですか?」

という話をしておきたいんです。

冷蔵庫なのか。

照明なのか。

通信手段なのか。

ご家族の暮らしによって、必要なものは違いますからね。

住み始めてからの点検も、家づくりの一部です

台風への備えというと、新築時の性能ばかり考えがちです。

でも、私は住み始めてからの点検も大切だと思っています。

雨どいに落ち葉が詰まっていないか。

雨水ますに土やごみがたまっていないか。

屋根や外壁に気になるところはないか。

窓やシャッターに不具合がないか。

こうしたことです。

ただし、台風が近づいてから屋根に上がったり、脚立で雨どいを掃除したりするのは危険です。

点検や清掃は、天候が穏やかなときに、安全な方法で行うことが大切です。

高所や電気設備など、危険を伴う場所は専門業者に任せてください。

そして、台風の後に異常を見つけた場合も、無理に自分で直そうとしないことです。

家は建てたら終わりではありません。

長く付き合っていくものなんです。

家づくりの予算には、防災と維持管理も入れてほしい

私は、家づくりでは生涯住宅費という考え方を大切にしています。

住宅ローンの返済額だけでなく、電気代や設備交換費用、メンテナンス費用まで考える。

今回の台風のニュースを見て、もう一つ付け加えたいと思いました。

それが、災害への備えです。

土地によっては、排水計画に費用が掛かる場合があります。

窓の飛来物対策を考える場合もあります。

停電への備えとして、蓄電池などを検討することもあるでしょう。

そして、火災保険の風災・水災補償も確認しておきたいところです。

もちろん、何でも設備を付ければいいという話ではありません。

対策には費用が掛かりますし、効果にも限界があります。

だからこそ、土地のリスクを調べて、優先順位を決めることが大切なんです。

家づくりは、設備をたくさん買う競争ではありません。

家族にとって必要な安心を、無理のない予算でどう実現するか。

私は、そこを一緒に考えたいと思っています。

まだ家を建てない方も、今日できることがあります

ここまで新築の話をしてきましたが、今すぐ家を建てる予定がない方にも、ぜひやってみてほしいことがあります。

まず、ご自宅の場所をハザードマップで確認してみてください。

洪水。

土砂災害。

必要に応じて、高潮や津波。

それぞれ、どんな想定が示されているでしょうか。

そして、家族で避難先と避難経路を話し合っておく。

飲料水や食料、簡易トイレ、ライト、モバイルバッテリーなどの備蓄を確認する。

こうしたことは、賃貸住宅でもできます。

また、台風が接近しているときは、気象庁や自治体の最新情報を確認し、危険が高まる前に行動することが大切です。

住宅の性能がどれだけ良くても、避難が必要な状況はあります。

家を守ることより、まず人の命を守ること。

ここは、忘れてはいけません。

最後に。家の本当の価値は、住んでから分かるものです

今回の台風30号のニュースを見て、改めて思いました。

家づくりは、晴れた日の暮らしだけを考える仕事ではないんです。

雨の日。

風の強い日。

停電した日。

そして、何十年も住んだ後。

そんなときにも、ご家族の暮らしをできるだけ支えられる住まいを考える。

それが、私たち建築屋の仕事だと思っています。

掛川市で土地を探している方。

これから家づくりを始める方。

ぜひ、住宅会社に一つ質問してみてください。

「この土地に大雨が降ったら、水はどこへ流れますか?」

この質問に、どんな資料を使って、どこまで丁寧に答えてくれるか。

そこにも、その住宅会社の家づくりへの姿勢が表れると思います。

晴れた日のモデルハウスも、もちろん見てください。

でも、雨の日の暮らしも想像してみてください。

家は、晴れた日だけ住むものではありませんからね(笑)。

ご縁を大切に。

住んでからがお付き合いの始まり。

おかげさまでありがとうございます。


参考ニュース

FNNプライムオンライン(2026年10月23日)「大型で強い台風30号の進路予想、先島諸島への接近と線状降水帯発生の可能性について」

※台風の進路や雨量予測は時間とともに変化します。この記事は住宅防災の一般的な考え方を紹介するものであり、現在の避難判断には気象庁・自治体の最新情報をご利用ください。

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