30人に1人が住宅ローン破綻?──店長が語る実態と住宅会社の責任 #店長流
30人に1人が住宅ローン破綻?──店長が語る実態と住宅会社の責任

30人に1人が住宅ローン破綻?──店長が語る実態と住宅会社の責任

店長 × 新人A
「30人に1人が住宅ローン破綻している」 こんなことを聞くと、胸がざわつく方も多いでしょう。そもそもそれは事実か?根拠は?誰がそうなるのか?——今回は店長と新人Aの会話を軸に、統計データと現場の知見を交えて解説します。
新人A
A: 店長、今って30人に1人がローン破綻をしているって本当ですか?30人に1人っていったら、学校のクラスの中で1人は破綻しているってことですよね。これって問題ではないのですか?
店長
店長: ああ、大問題だよ。更に悪いことに近年また増加をしている。データ上はかつての高水準から改善した時期もあるが、いま改めて注意が必要な状況になっているんだ。
新人A
A: え!じゃあ私たちが売っている住宅って、人の不幸の上で成り立っているんですか?それは嫌だな・・・
店長
店長: それは言い過ぎだけど、残念ながらそういう商売の仕方をする人や会社があるのも事実だ。ただ思い出してみて。僕のお客さんや君のお客さん、他にも当社のお客様でそうなった人の話、聞いたことある?
新人A
A: そう言われると一度も聞いたことがありませんね?当社も多くの人に提供していますから、30人に一人なら結構な人数いてもおかしくないのに…。
店長
店長: そこなんだよ。データで見ると確かにそうだけど、それが真実とは限らない。今日はその理由を含め色々と一緒に整理しよう。

第1章|「30人に1人」は何を意味するのか — 実態の整理

まず「30人に1人」という表現の意味を整理します。公的データ(住宅金融支援機構など)では、住宅ローンのうち「返済が困難な債権」を広く含めた指標が約3%前後と報告されています。これは概ね「33人に1人」に相当し、わかりやすく表現すると「およそ30人に1人」が返済に困る可能性があるということになります。

重要なのは、この指標は「即・競売や自己破産」と同義ではない点です。延滞、代位弁済、任意売却、返済条件の変更などを含めた広い概念で集計されています。つまり「返済に行き詰まって何らかの救済や措置を受けた人たち」を含めた数値です。

また長期的には2010年代に高かった割合が改善した時期もありますが、経済環境の変化(物価高・金利上昇・雇用不安)により再びリスクが高まる可能性があり、統計数値だけで安心はできません。 また、この統計には不確実性もあり、銀行データの精度や審査基準の違いから実態とはズレる可能性があります。

店長
店長: それでも今は増えているのが事実。それは金利や社会情勢もあるけれど、実はもっと根本的な構造から生まれているんだ。

第2章|破綻する人・しない人の違い

では、どんな人が破綻しやすく、どんな人が破綻しにくいのでしょうか。統計と実務の両面を踏まえると、主に次の要素が影響します。

項目破綻しやすい傾向破綻しにくい傾向
借入条件頭金が少ない・借入比率(LTV)が高い・ボーナス頼み自己資金を入れ、適切な返済負担率で借りている
収入の安定性非正規・短期雇用・収入変動が大きい安定的な給与収入・複数収入源や貯蓄がある
ライフプランの想定将来の変化(離婚・失業・怪我)を想定していない将来の変動を織り込んだ余裕のある資金計画
住宅の品質割安物件で初期費用を抑えすぎ、その後の維持費が高い適切な品質で維持費や光熱費を見越した設計

若年層や退職間近の世代、収入が不安定な世帯は特にリスクが高いことが報告されています。また、頭金ゼロや過度な期待(過剰な将来収入)でローンを組んだケースは一挙に破綻リスクを高めます。

新人A
A: これっていつも店長が言っていることですよね。今ではなく、将来を考えた設計をしないといけないって。それってこの為だったんですね。

第3章|価格・ローン・ライフプラン提案の重要性

住宅の価格やローン設計、そしてライフプランの提案品質は、破綻を避けるうえで決定的です。ここで大切なポイントをまとめます。

視点やるべきこと(お客様向け)
価格設計本体価格だけでなく諸費用・メンテコストを含めた総費用で判断
ローンの組み方返済負担率(年収に占める返済割合)を適正に、金利上昇シナリオでの試算を必ず確認
返済の安全性頭金確保、余裕資金、金利上昇時のキャッシュフロー確認
ライフプラン教育費・老後資金・住宅以外の負債を含めた総合的な設計

重要なのは「その場しのぎの契約」ではなく、将来の変化まで見越した設計です。住宅は数十年単位の買い物。短期的に月額を抑えるために性能や耐久性を削ると、結果的に生活コストが上がり返済負担を圧迫します。

店長
店長:いくら借りれるからって返済比率を無視した計画はある意味自殺行為。しっかりと計画をしておくことが大事。特にお金は生活をするために絶対に必要なんだから、慎重に慎重を重ねるくらいがちょうどいい。営業マンの「あなたなら借りられますよ」なんて甘い言葉には要注意!

第4章|なぜ当社には破綻するお客様が少ないのか?

ここで店長が強調した「我が社では破綻したお客様の話を聞かない」という点について、実務的な理由を整理します。要は「売り方」だけでなく「提案内容と支援体制」が違うのです。

明工建設の取り組み期待される効果
総費用提示と見える化(建物+諸費用+維持費)お客様が将来の負担を正しく把握できる
保守・維持コストを見越した仕様提案長期で見たコスト負担が軽くなる
返済負担率を基にした無理のないローンプラン想定外のリスクに強い返済設計
ライフプラン面談(教育費・老後含む)住宅以外の支出を含めた無理のない計画
アフターと相談窓口の継続困った時の早期対応で破綻回避に寄与

当社では単に「家を売る」のではなく、「暮らしが続けられる家計設計」を一緒に作ることを重視しています。これが破綻率が低い最大の要因であり、店長が誇りにしている部分です。

新人A
A: 確かに、当社ではお客様との付き合いが長いって聞いています。他社で営業をやっている友人に聞いたら、「え!そんなところまで手を出すの!大変だねー」なんて言われていましたが、それが大事だってことですね。

第5章|住宅会社に求められる本来の責任

最後に、住宅会社としての責任についてまとめます。数字だけを追いかけて契約を急ぐ姿勢は、お客様の将来を危うくします。住宅会社が果たすべきは次の三点です。

責任具体的な行動
誠実な情報開示総費用・維持費・ローン総額を明確化
無理のない金融設計の提案無理のない返済負担率、金利上昇時の試算を提示
長期の伴走支援アフター対応・支援窓口・ライフプランの見直し支援
自社よりも顧客の利益優先自社の利益に走るのではなく、真に価値あるものを提供する

店長の言葉を借りれば、「我々の仕事は家を売ることではなく、未来の安心を売ること」です。30人に1人という数字は決して他人事ではありません。住宅会社にも、そして購入を検討する皆さまにも、冷静で誠実な判断が求められる時代です。

店長
店長:今回のことを教訓に、しっかりと対策をすれば何にも怖くはない。住宅ってよく「負債」って言われるけれど、しっかりとしていれば本当は「資産」なんだよね。今回のことが上手に出来ない人が多いから、なんだか「負債」に見えてしまうだけなんだよ。
まとめ:
「30人に1人」の背景には、ローン条件の甘さ・収入の不安定化・不十分なライフプラン提案など複合的な要因があります。数値を恐れるのではなく、事実を理解し、〈適切な価格設計+堅実なローン設計+暮らしを支える提案〉を行う会社を選ぶことが、後悔しない家づくりへの近道です。