オーガニックで豊かな暮らしの家づくり「建物の基礎知識 天井の快適な高さ」

「天井の高さを高くすると気持ちが良い」

と言われますが、

実はただ高ければ良いというものではありません。

快適な住まいの高さをつくるにはコツがあります。

今回は、住まいの心地良い「高さ」

についてお伝えします。
 

◆快適な天井高さ

気持ちの良い高さをつくるには

床面積が比較的広くできるリビングなどは、

天井が高い方が広がりを感じられ

気持ちが良いものです。

特に吹抜けなどは開放感をつくり出し、

同じ床面積であっても広く感じます。

しかし吹抜けが大きくなりすぎると

空間は単調になる場合もあります。

高い天井のメリット・デメリットをまとめると

【メリット】

•空間に開放感と変化をもたらします。

•高い位置からの彩光をとり入れることができます。

•テラス窓上部に通風をコントロールできる欄間

(らんま)窓を設けることができます。

•小上りの和室など床に段差をつけることができます。

•壁が多くなるので大きな絵などを飾ることができます。

 

【デメリット】

•冷暖房のエネルギーコストがかかります。

•天井ふところの位置が他の部屋と違うので、

 設備配管が通りにくくなることがあります。

•照明などのメンテナンスがしづらいです。

•壁掛けエアコンが目立ちます。

•用途によっては落ち着いた空間に

 ならないこともあります。

 

●天井の高さを上げるとき

仮に天井の高さを上げる場合、

2.4m(240cm)であれば一つの目安として

15cmを刻んで加えていくとよいのです。

2m55cm(255cm)、2m70cm(270cm)といった具合です。

15cmという数字は家づくりの基準寸法で、

住まいは15の倍数でつくられているからです。

人体尺(人の指)で

親指と人差し指を広げた長さは約15cmです。

これは1尺(約30cm)の半分の長さで、

これらが基準となって

住まいの寸法がつくられています。

 

◆天井が低い方が良い場合

一方、畳に座って過ごす和室やトイレなど、

比較的狭い空間は天井が低いほうが落ちつきます。

つまり天井の高さは室内空間の

縦・横の比率もあわせて考える必要があります。

気持ちが良い、落ちつく、

といったやや感覚的なものには個人差があります。

展示場や友人の家などで体験してみると良いでしょう。

 

◆「吹き抜け」も大きさによって違う効果が

大きな吹抜けでは、

梁を露し(あらわし)にすることができ

空間のスケール感を強調する効果があります。 

小さな吹抜けでは、

天窓を利用して光井戸のように

自然光を室内に採り入れることができます。

 

◆住まいには3つの「高」があります

戸建住宅の天井高は、2.3m〜2.5mが一般的です。

戸建住宅をつくる際、

平面計画(間取り)はもっとも重要ですが、

次に高さ(断面計画)が大切なポイントになります。

住まいに関して「高」を使う箇所には

「床高」「天井高」「階高」の3箇所あります。

・床高(ゆかだか)

 床高は真下の地面から床の上面までの高さをいいます。
 
 湿気の多い日本では床面は建築基準法で
 
 原則45cm以上としなければいけません。

・天井高(てんじょうだか)

 床面から天井までの高さで

 建築基準法では居室の天井高の

 最低基準は2.1m以上とされています。

・階高(かいだか)

  階高は、おおよそ天井の高さと

 天井のふところの高さを合わせた高さです

 (1階の床面から2階の床面までの高さ)。

 天井のふところは、

 1階天井と2階の床の間のスペースで、

 配管や配線、遮音のために使われる

 必要なスペースになります。

 

◆敷居が「高い」家?

建築用語に「高い」という言葉がつく慣用句に

「敷居が高い」という成句があります。

これは目上の人間に対して

不義理をしていてその人の家に行きにくい、

会うのも躊躇する状態を意味します。

敷居が高いという慣用句も別に

敷居が高くなっているわけではなく、

入りにくく感じられる心理を「高」

で表わしているのです。

建築空間も間取りは平面的な畳数で表わすと

イメージしやすいのですが、

「高さ」は三次元の空間でとらえる

必要があるのでわかりにくいものがあります。

したがって住空間の高さを考えることは、

状態や心理に配慮することなので難しいのですが、

逆に熟慮を重ねると

それだけ心地良い空間が得られる

という証でもあります。

「高さ」を意識してぜひ敷居が高い家どころか、

友人・知人が敷居を跨ぎたくなる

家づくりを行いましょう。

それでは!また!!