【空き家900万戸の本当の意味】これから家を建てる人にこそ知ってほしい。「30年後も選ばれる家」をつくるということ

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

先日、住宅に関する資料を読んでいて、一つ気になる数字がありました。

日本の空き家、900万戸。

総住宅数に占める空き家率は13.8%。

「7軒に1軒くらいが空き家」と聞けば、

「日本は家が余っているんだ」

「人口も減っているのだから、新築なんて建てない方がいいのでは?」

「これから家を建てても、将来は価値がなくなるのでは?」

そう感じる方もいると思います。

私も、900万戸という数字だけを見れば、かなり多いと思います。

ところがです。

住宅を仕事にしてきた人間として、この数字をもう少し細かく見ていくと、まったく違う景色が見えてきます。

今日は少し長くなりますが、これから御前崎、掛川、菊川、牧之原周辺で家を建てようと考えている方には、ぜひ最後まで読んでいただきたい話です。

これは「空き家」の話であると同時に、

あなたがこれから何千万円もかけて建てる家を、30年後、50年後にどうするのか。

という話だからです。

「空き家率13.8%」だけを見てはいけない

まず数字を整理してみましょう。

総務省の2023年住宅・土地統計調査では、日本の総住宅数は約6,502万戸。

そのうち空き家は約900万戸。

空き家率は13.8%で過去最高となりました。総務省統計局

ここだけ切り取れば、

「日本中に使われない家が900万戸も放置されている」

という印象になりませんか?

でも実際には違います。

900万戸の中には、

空き家の種類約戸数総住宅数に対する割合
賃貸用443万戸約6.8%
売却用33万戸約0.5%
二次的住宅38万戸約0.6%
賃貸・売却用、二次的住宅を除く空き家385万戸約5.9%

が含まれています。総務省統計局

つまり、「空き家900万戸」の中には、

「次の入居者を募集しているアパート」

「買い手を探している中古住宅」

「別荘などとして使われている住宅」

まで含まれているわけです。

ここ、大事だと思いませんか?

ニュースで、

「空き家率13.8%、過去最悪」

と聞くのと、

「賃貸・売却・二次的住宅を除いた空き家は総住宅数の5.9%」

と聞くのでは、受ける印象がずいぶん違います。

もちろん385万戸という数字も非常に大きい。

だから空き家問題を軽視していいという話ではありません。

私が言いたいのは、

数字は、分母と中身を見るまで判断してはいけない。

ということです。

これは住宅性能も同じです。

UA値だけ。

断熱等級だけ。

太陽光のkW数だけ。

蓄電池のkWhだけ。

住宅価格だけ。

一つの数字だけを取り出せば、いくらでも良く見せることができます。

だから私は、お客様にもいつも、

「その数字が何を意味しているのかまで見てください」

とお伝えしています。

では、本当の問題は何なのでしょう

私は空き家が存在すること自体が問題なのではないと思っています。

売却するために空いている家なら、次の家族へ渡ればいい。

賃貸住宅なら、新しい入居者が住めばいい。

別荘なら、週末に家族が楽しめばいい。

問題になるのは、

誰にも使われず、管理もされず、次の使い道も決まらない住宅が増えていくこと

ではないでしょうか。

ここで私は、住宅会社として少し耳の痛いことも考えます。

なぜ、日本では家が次の人へ渡りにくいのでしょう。

日本は「中古住宅を使い継ぐ」という文化がまだ弱い

国土交通省も、日本では既存住宅の流通が欧米に比べて低水準であることを長年課題としてきました。

少し前の統計では、日本の全住宅流通量に占める既存住宅の割合は約14.5%にとどまり、欧米諸国よりかなり低い水準でした。国土交通省

ただし、ここにも変化があります。

最新の国交省資料で戸建住宅だけを見ると、既存住宅の流通シェアは2008年の24.7%から、2024年には33.3%まで上昇しています。国土交通省

中古住宅を選ぶ人は少しずつ増えている。

私はこれは良い変化だと思っています。

では、さらに中古住宅が選ばれるためには何が必要でしょう。

私は住宅会社として、

「中古になった時にも、次の人が欲しいと思える家を最初からつくること」

だと思うのです。

あなたなら、30年後にどちらの中古住宅を買いますか?

少し想像してみてください。

同じ築30年。

同じくらいの広さ。

同じ地域。

一方は、

建築当時の最低基準をクリアしただけ。

図面や施工記録がよく分からない。

耐震性能もはっきりしない。

壁の中がどうなっているか分からない。

床下は湿気ている。

設備を交換しようにも配管経路が分からない。

もう一方は、

構造計算や施工記録が残っている。

耐震性能が明確。

床下や小屋裏まで点検できる。

断熱・気密性能が確認できる。

適切にメンテナンスされてきた。

太陽光などの設備を更新しながら使える。

間取りも時代に合わせて改修できる。

どちらを買いたいでしょう。

たぶん、答えはかなり自然に出てくると思います。

ここなんです。

空き家問題は、「家が多すぎる問題」だけではありません。

私は、

「次の人が住みたいと思える住宅ストックを、私たちはどれだけ残してきたのか」

という問題でもあると思っています。

安く建てることと、安く暮らせることは違う

これは私が家づくりで何度もお伝えしていることです。

最初の住宅価格を100万円、200万円安くする。

もちろん大切です。

住宅ローンを組むのですから、価格を無視することはできません。

でも、そのために、

断熱を削る。

耐震を最低限にする。

気密測定をしない。

換気設備を簡略化する。

太陽光を付けない。

将来のメンテナンスを考えない。

そして30年後、

「この家を買いたい人がいません」

となったらどうでしょう。

建てた時に安かった家と、生涯で安かった家は同じではありません。

ここまで考えて初めて、本当の住宅価格が見えてくると思っています。

私がもっと面白いと思ったのは「二次的住宅」です

今回、私が参考にした資料で、特に興味深かったのがここです。

その資料では、日本の二次的住宅の少なさに着目し、空き家を単に処分するのではなく、**「安全保障の家」**として活用できないかという提案をしています。

これには私も考えさせられました。

家は一人一軒。

そう思い込んでいませんか?

これからは違ってもいいのではないでしょうか。

平日は都市部。

週末は御前崎。

普段は静岡。

時々、山側の家。

仕事をする場所と休む場所を分ける。

そして災害が起きた時には、もう一つの住宅へ移動する。

実際、国も近年は「二地域居住等」の促進に向けた制度整備を進めています。国土交通省

私はこれを単なる「別荘」とは少し違うものとして考えています。

南海トラフを考える御前崎だからこそ、「もう一つの家」という発想

私たちが暮らす静岡県では、地震への備えを避けて通れません。

だからこそ私は、

家は災害に耐えるだけではなく、その後の生活を続けられる場所であるべき

と考えています。

耐震等級3。

制振。

太陽光発電。

蓄電池。

V2H。

高断熱・高気密。

計画換気。

水。

電気。

こうしたものを明工建設が一体で考えているのも、

「住宅設備をたくさん売りたいから」

ではありません。

災害が起きた翌日にも、その家で生活できる可能性を高めたいからです。

そしてもう一歩進めれば、

自宅が被災した時に、別地域にもう一つ生活できる場所がある。

これは確かに、個人の防災力を大きく変える可能性があります。

ただし、「古い空き家を買えば防災になる」わけではありません

ここは絶対に勘違いしないでください。

災害から逃げ込んだ先の家が、

大地震で倒壊してしまったら意味がありません。

だから既存住宅を活用するなら、

まず耐震性。

雨漏り。

腐朽。

シロアリ。

基礎。

屋根。

断熱。

配管。

電気。

そして換気。

こうしたものをきちんと確認する必要があります。

「安全保障の家」を成立させるうえで、耐震性を重要な条件として扱っています。さらに、構造躯体であるスケルトンを長く使いながら、設備や内装などのインフィルを時代に合わせて変えていく発想もありかなと思います。

これは新築にもそのまま当てはまります。

これからの家は「完成した瞬間が100点」では足りない

私は家づくりを、

完成したら終わり

とは考えていません。

子どもが生まれる。

子どもが大きくなる。

独立する。

夫婦二人になる。

親と暮らすことになるかもしれない。

在宅勤務になるかもしれない。

EVが当たり前になるかもしれない。

電力事情も変わる。

そしていつか、その家を子どもが使うかもしれない。

売却するかもしれない。

誰かに貸すかもしれない。

だから、

変えられる家

であることも大切です。

構造は強く。

外皮は長持ちさせる。

見えないところほど丁寧につくる。

設備は交換できるようにする。

間取りは将来変えられる余地を持たせる。

エネルギー設備も更新できるようにしておく。

私はこれが、

「30年後にも選ばれる家」

につながっていくと思っています。

「新築か中古か」という二択ではありません

ここまで読んで、

「仁藤さんは中古住宅を勧めているんですか?」

と思った方もいるでしょう。

違います。

新築には新築の良さがあります。

既存住宅には既存住宅の可能性があります。

私がお伝えしたいのは、

どちらかを最初から正解にしないでください

ということです。

土地。

家族構成。

予算。

耐震性。

改修費。

断熱性能。

災害リスク。

将来どう使いたいのか。

全部を見て判断すればいい。

新築した方が合理的な人もいる。

良質な中古住宅を改修した方が合理的な人もいる。

二地域居住という答えが合う人もいる。

重要なのは、

住宅会社が売りたいものから考えるのではなく、あなたの暮らしから考えることです。

だから住宅会社に聞いてみてください

「この家は30年後、中古住宅として売れると思いますか?」

「その時、何を根拠に性能を説明できますか?」

「耐震性能は?」

「気密性能は実測していますか?」

「床下や小屋裏は将来点検できますか?」

「設備を交換しやすい設計ですか?」

「家族構成が変わったら間取りを変えられますか?」

そして最後に、

「この家をあなた自身が30年後に中古で買いたいと思いますか?」

と。

私は、なかなか良い質問だと思っています。

営業トークではなく、その会社が家というものをどう考えているかが見えてくるからです。

「空き家900万戸」を見て、私は逆のことを考えました

普通なら、

空き家900万戸。

人口減少。

住宅余り。

だから「もう家を建てなくていい」。

という話になるかもしれません。

私は少し違います。

これからは、何でも建てればいい時代ではなくなる。

だからこそ、

本当に長く使える家を建てなければならない。

と思うのです。

壊して、また建てる。

古くなったら価値ゼロ。

そんな家づくりをいつまでも続けていいのでしょうか。

国土交通省も、住宅ストックが世帯数を上回る中で「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会への移行を掲げています。国土交通省

だったら住宅会社も変わらなければいけない。

売れればいい家ではなく、残したくなる家をつくる。

私はそこが大事だと思っています。

明工建設がつくりたいのは、「次の世代にも渡せる家」です

耐震。

断熱。

気密。

空気。

湿度。

水。

電気。

太陽光。

蓄電。

V2H。

メンテナンス。

これらを一つずつ売るのではありません。

全部をつなげて、

家族が健康に暮らせること。

エネルギー負担を抑えられること。

災害時にも生活を続けられること。

建物そのものが長く健全であること。

そして、

自分たちが住まなくなった後にも、誰かが「この家なら住みたい」と思えること。

そこまでが家づくりだと思っています。

これが、私の考える仁藤流の家づくりです。

これから家を建てる方へ

「空き家が900万戸もあるのに、新築していいのでしょうか?」

その質問に、私は単純なYES、NOでは答えません。

むしろこう聞きたい。

あなたがこれから建てようとしている家は、30年後にも誰かが欲しいと思う家でしょうか。

50年後にも構造が健全でしょうか。

設備を更新して使い続けられるでしょうか。

災害が起きた時、家族を守れるでしょうか。

子どもへ渡した時、

「こんな古い家はいらない」

ではなく、

「この家なら残したい」

と思ってもらえるでしょうか。

そこまで考えて建てるなら、新築住宅は「将来の空き家候補」ではありません。

次の世代へ渡していく住宅ストックになる。

私はそう考えています。

家づくりで迷っている方は、新築の見積書でも、中古住宅の資料でも、土地情報でも構いません。

明工建設へ持ってきてください。

「売るための答え」から始めるのではなく、

そのご家族にとって、新築、中古、リノベーション、二地域居住のどれが合理的なのか。

一緒に整理してみましょう。

家を買うことが目的ではありません。

家族の人生を支えてくれる拠点をつくること。

そして、その家がいつの日か次の家族の人生まで支えてくれたら。

日本の「空き家問題」の景色も、少し変わってくるのではないでしょうか。

家は消費するものから、使い継ぐものへ。

私は、これからの住宅会社にはそんな責任があると思っています。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。

おかげさまで、ありがとうございます。


参考資料
総務省「令和5年住宅・土地統計調査」では、空き家900万戸・空き家率13.8%、うち「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」は385万戸・総住宅数の5.9%とされています。なお速報値とその後の確定集計では数値が一致しない場合があるため、ブログ公開時には使用する統計表の版を統一するのがおすすめです。総務省統計局

総務省「令和5年住宅・土地統計調査」
国土交通省「既存住宅・リフォーム市場の活性化に向けた取組み」

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