【仁藤流・防災住宅論】台風25号から考える「停電してからが住宅性能」―子どもを守る家は、災害後も暮らしを止めない

おかげさまです。明工建設の仁藤です。

今回の台風25号。

八丈島では猛烈な雨風となり、現地からは木々が激しく揺れ、電柱まで揺さぶられる様子が伝えられました。ホテルでは窓ガラスの一部が割れ、一時的な停電も発生しています。テレ朝NEWS

実は八丈島は、前年2025年10月にも台風22号・23号によって大きな被害を受けています。

八丈町の資料を見ると、屋根の飛散や外壁の損壊が多発し、約5,600軒が一時停電。さらに水源施設が被災したことで、全島規模の断水も長期化しました。八丈島情報

こうしたニュースを見るたびに、住宅会社として考えさせられます。

家は、晴れた日に評価しても本当の性能は分からない。

むしろ、

台風が来たとき。
地震が起きたとき。
停電したとき。
断水したとき。

そのとき家族の生活をどこまで守れるのか。

私は、そこまで含めて「住宅性能」だと思っています。

「壊れない家」だけで本当に十分でしょうか?

家づくりで防災というと、

「耐震等級はいくつですか?」

「台風に強い屋根ですか?」

という話になりがちです。

もちろん非常に重要です。

でも、もう一歩先まで考えてみてください。

建物そのものは無事だった。

ところが停電して、

エアコンが止まる。

冷蔵庫が止まる。

照明がつかない。

スマートフォンを充電できない。

IHが使えない。

場合によっては換気や給水にも影響が出る。

真夏なら、小さなお子さんや高齢者にとって室温上昇そのものが大きな問題になります。

つまり、

「家が残ること」と「その家で生活を続けられること」は別問題

なんです。

私はこれからの住宅には、この二つを同時に考える必要があると思っています。

これから必要なのは「避難できる家」から「在宅避難できる家」へ

もちろん自治体から避難指示が出たり、浸水・土砂災害・火災などの危険が迫ったりしている場合は、住宅性能にかかわらず適切な避難が最優先です。

その前提で、自宅の安全が確保されている災害ではどうでしょう。

避難所へ行かなくても、

自宅に電気がある。

暑さ・寒さをしのげる。

スマートフォンを充電できる。

冷蔵庫を動かせる。

最低限の調理ができる。

トイレ対策ができている。

家族が普段に近い環境で眠れる。

私はこれを、これからの住宅が持つべき一つの価値だと考えています。

特に小さな子どものいる家庭なら、

「避難所へ行けること」だけでなく、「条件が許せば自宅で生活を継続できること」

も防災になります。

だから仁藤流スマートハウスは「太陽光を載せて終わり」ではありません

明工建設が、

太陽光発電。

蓄電池。

V2H。

HEMS。

高断熱・高気密。

計画換気。

耐震等級3。

制振。

といったものを組み合わせて考えている理由もここにあります。

一つ一つを高価な住宅設備として売りたいわけではありません。

全部つながっているからです。

例えば太陽光。

普段なら電気代を抑えるために働きます。

でも停電した瞬間、

その意味が変わります。

「節約設備」だったものが、

家族の生活を維持するための発電設備

になるわけです。

蓄電池があれば、昼間につくった電気を夜へ持っていける。

V2Hなら、対応するEVの大容量バッテリーを住宅側で利用する選択肢も生まれる。

そしてHEMSがあれば、限られた電力を「何に、どれだけ使うか」を考えやすくなる。

これが私の考えるスマートハウスです。

実際、今回の八丈島でも「EV」が防災設備になっていました

今回の報道で、私が非常に興味深かったことがあります。

八丈島のあるホテルでは、台風25号による停電に備えて、非常用バッテリーとして5台の電気自動車を準備していたと報じられています。FNN

これなんです。

以前のブログでも私は、

「EVは単なるクルマではない」

と書きました。

普段は移動するために使う。

自宅の太陽光で充電すれば、自家発電したエネルギーで走る。

そして災害時には、大きな蓄電池として活用できる。

クルマと家を別々に考える時代から、

家・クルマ・電気を一つの生活インフラとして設計する時代

へ変わりつつあるのだと思います。

そして意外に重要なのが「高断熱・高気密」

「停電の話なのに、なぜ断熱なんですか?」

と思うかもしれません。

むしろ停電したときほど、住宅の断熱・気密性能の意味が見えてきます。

エアコンが停止すれば、機械によって室温を維持できなくなります。

そのとき、

外の暑さ・寒さの影響をどれだけ受けにくくできるか。

ここに住宅そのものの性能差が現れます。

もちろん高断熱住宅だから真夏の停電でも安全、と単純には言えません。日射遮蔽や換気、外気温、停電時間などにも左右されます。

それでも、設備だけに頼るのではなく、建物そのものの熱負荷を小さくしておく。

これは平常時には省エネになり、非常時には室内環境の急激な悪化を抑える方向に働きます。

だから私は、

省エネと防災を別々に考えてはいけない

と言い続けています。

台風対策は「耐震等級3だから大丈夫」でもありません

ここも住宅会社として重要なところです。

耐震等級は、その名の通り主として地震に対する構造性能を評価するものです。

だから、

「耐震等級3だから台風にも絶対強い」

という説明は乱暴です。

強風に対しては、

屋根。

外壁。

窓。

軒。

接合部。

屋根材の留め付け。

開口部。

周辺から飛んでくる飛来物。

さらに土地そのものの浸水・高潮・土砂災害リスク。

こうしたものまで考えなければいけません。

御前崎のような海に近い地域なら、なおさらです。

地域が違えば、家の「守り方」も変わる。

全国一律のカタログ住宅だけではなく、その土地の気候や災害特性まで読んで設計することが、地域工務店の役割だと思っています。

30代・40代の方に、一度だけ想像してほしいこと

ここで、これから家を建てる方に考えてほしいことがあります。

例えば家が完成して5年後。

台風の夜です。

外では猛烈な雨が降っている。

突然、

「バチン」

と電気が消える。

部屋が真っ暗になります。

そのとき隣を見ると、

まだ小学生の子どもがいる。

「お父さん、電気消えちゃったよ」

「お母さん、怖い」

と言われる。

そのとき、

「大丈夫だよ」

と言える家になっているでしょうか。

ここが重要なんです。

豪華なキッチンも素敵です。

大きな吹き抜けもいい。

おしゃれな外観もいい。

でも私は住宅会社として、

真っ暗になった夜に、親が子どもへ「大丈夫」と言える家をつくりたい。

その「大丈夫」に技術的な裏付けを持たせたいと思っています。

防災設備は、使わなければ「無駄」なのか?

蓄電池について、

「停電なんて滅多に起こらないから、元が取れないでしょう」

と言われることがあります。

これも「元を取る」の定義次第です。

太陽光や蓄電池には導入費、交換費、容量、出力、変換ロスなどがありますから、すべての家庭で経済合理性が同じになるわけではありません。

だからシミュレーションは必要です。

でも、

火災保険を一度も使わなかったら損でしょうか?

シートベルトを一度も役立てずに車を手放したら無駄でしょうか?

そうではないですよね。

防災には、

「使わずに済んだこと自体が幸せ」

という価値があります。

さらに太陽光・蓄電池・EVは、防災専用品とは違います。

普段から電気をつくり、貯め、使うことができる。

つまり、

平時は家計を助け、非常時には家族を助ける。

この「二刀流」に意味があります。

家の価値は、何も起きていない日に決めるものではない

モデルハウスを見れば、

どの会社の家もきれいです。

晴れた昼間なら、

どの家も快適そうに見えます。

でも住宅の本当の差が現れるのは、

真冬の朝。

猛暑日。

地震の直後。

台風の夜。

そして停電した翌朝なのかもしれません。

だから明工建設では、

健康・省エネ・防災

を別々の商品として考えません。

高断熱・高気密だから、普段の冷暖房エネルギーを小さくする。

太陽光で、そのエネルギーを自宅でつくる。

蓄電池やEVに貯める。

V2Hなどで必要なときに住宅へ戻す。

耐震等級3や制振によって、まず建物そのものを守る。

そして換気・空調まで含めて、家族が暮らす環境を整える。

これらを一つにつなげる。

それが、

仁藤流スマートハウスです。

「災害に強い家」ではなく「災害後にも家族を守り続ける家」

自然災害を住宅だけで完全に防ぐことはできません。

だからこそ、私は「絶対安心」「災害に負けない」といった言葉を簡単には使いたくありません。

でも、

被害を小さくするための準備はできる。

そして、

被災した後の暮らしを立て直しやすくする準備もできる。

これから35年、50年住む家なら、私はそこまで考えて建ててほしいと思います。

子どもたちに残したいものは、大きな家でしょうか。

高級な設備でしょうか。

私は、

「何かあっても、この家に帰れば大丈夫」

と思える場所なのではないかと思っています。

家は人生最大の買い物と言われます。

でも、本当は「買い物」ではない。

家族が毎日を過ごし、子どもが成長し、そして何か起きたときには家族を守る、

暮らしのインフラです。

今回の台風25号を、単なるニュースで終わらせず、

「もし今夜、自分の家が停電したら?」

そんなところから、ぜひ一度ご家族で話してみてください。

家づくりを見る目が、少し変わるかもしれません。

ご縁を大切に唯一無二の家造り。
住んでからがお付き合いの始まり。
おかげさまでありがとうございます。

参考情報: 国土交通省「令和8年台風第25号による被害状況等について」八丈町公式サイト

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