住宅の気密性とは?メリット・デメリット・今「高気密の家」が求められる理由を解説

気密施工・気密測定のイメージ

はじめに ― 気密性の重要性が“当たり前”ではなかった時代

近年、家づくりの世界では 「高気密・高断熱」 という言葉が常識になりつつあります。 しかし、「気密性とは何か?」「なぜ必要なのか?」を正しく理解している人は意外と多くありません。 それは、近年になるまで「気密性」を気にして住宅を建てた人や、それを気にして生活してきたこともないので、当たり前な話でもあります。

本記事では、そういった気密性の基本から、メリット・デメリット、そして なぜ今「高気密の家」が推奨されているのか を、 明工建設の家づくり視点で分かりやすく解説します。

1. 気密性とは何か? ― C値で表される“すき間の少なさ”

気密シートと気密テープ施工の様子

気密性=家の「すき間の少なさ」

気密性とは、簡単にいうと家の「すき間の少なさ」のことです。
すき間が多い家では、外気がどんどん室内へ入り込み、 冬は暖房しても寒く、夏は冷房しても暑くなります。
すき間が多い家を分かりやすい例でいうと、昔の立て付けの悪い窓から入ってくる、隙間風が多い家と言った感じでしょうか。

C値とは?

気密性能は C値(相当すき間面積) という数値で表示されます。 これは「家全体にどれくらいのすき間があるか」を示す数値で、 数字が小さいほど気密性が高い=すき間が少ないことを意味します。
ちなみに数字の単位は「c㎡/㎡」。1㎡の空間に何c㎡の隙間があるのかって単位になります。

例:C値 1.0c㎡/㎡ = ハガキ1枚程度の穴 C値 0.5c㎡/㎡ = その半分 C値 0.2c㎡/㎡ = さらに小さい


この0.2って数字だと、1㎡の板の中で約4.5mmの正方形の隙間があるということになります。
お米一粒の面積が0.4c㎡/㎡程度と言われているので、その半分です。
ほとんど隙間が無いってことですね。

2. 気密性が高い家のメリット

快適な室内でくつろぐ家族の様子

① 冷暖房効率が高まり、光熱費が下がる

すき間が少ないということは、 快適な室温が外へ逃げない、また外から熱が入ってこないとということ。 冷暖房効率が大きく向上し、電気代の削減につながります。

② 断熱性能が“本来の力”を発揮できる

気密性が低い家は、いくら断熱材を厚くしても効果が半減します。 理由は簡単で、どれだけ良い断熱をしていても、そこを通らず隙間から熱が入って来てしまったら、全く意味がないからです。 気密と断熱はセットで働く性能です。

③ 計画換気が正しく機能する

すき間があると空気が勝手に出入りし、換気計画が崩れます。
換気計画では、部屋の広さなどに応じてどのくらい空気を入れるべきなのかなどの計算をします。
この空間に隙間があると、そこから空気が逃げたり入ったりしてしまうので、計画がまったく狂ってしまうのです。
高気密の家では、 空気の流れを設計できる → 空気がきれいになる という大きなメリットがあります。

④ 花粉・PM2.5・湿気の侵入を抑えられる

気密性が高いと、外気が勝手に侵入せず、 花粉症の軽減やカビの発生対策にも効果的です。
気密性が高いだけで、年間の光熱費が数千円も変わるって研究結果もあります。

⑤ 家の寿命が伸びる

壁内結露の発生を抑えられるため、 構造が長持ちする=住宅の寿命が伸びるという効果もあります。
家は普通な状態であれば、数百年ももつものですが、壁内結露などで湿気を帯びると、シロアリなどの害虫の餌食になったりして、家の寿命が大幅に短くなることが分かっています。

<注意:気密性だけを追い求めても意味がない理由>

気密性は住宅性能において非常に重要な要素ですが、「気密性の数値だけ」を追い求める家づくりは正しい方向とはいえません。

研究データによると、一定の基準(C値0.5前後)をクリアすると、 室温変化・省エネ効果はそれ以上の高気密を追求しても“誤差レベル”に落ち着くことが分かっています。

つまり、気密性は重要である一方で、「気密だけを競う家づくり」には意味がありません。 必要なのは、気密・断熱・換気・日射取得・日射遮蔽など、 “住宅性能を総合的にデザインする”ことです。
ハウスメーカーの中にはこの心理を上手に利用し、気密性だけを取り上げて、あたかも良い家のように見せている会社があります。
気密性をあげることだけで良い家になるわけがないので、そういった話には注意が必要です。

3. 気密性が高い家のデメリット

気密施工に取り組む職人

次は、高気密にすることへのデメリットをお伝えいたします。

① 施工の質が問われる(職人の腕が必要)

高気密を実現するには、職人の経験・技術が不可欠です。 丁寧な施工ができる工務店かどうかが重要なポイントになります。 気密性は施工方法や、部材選びである程度高気密にすることは出来ます。
しかし、先ほど挙げた0.2と言う数字を出そうとすると、工法や部材だけでは無理になってきます。
そこから先は職人の経験と技術。
ですが、これも先ほど言ったように、このことを重視した家づくりは元々してないかったので、しっかりとした技術者がいる会社で施工してもらうことが重要になります。

② 換気が不十分だと空気がこもりやすい

気密が高いからこそ、 「正しい換気計画」が絶対に必要です。
24時間換気が正しく行われていれば問題ありませんが、計画が不十分だと、昔みたいに隙間がないので、どんどん汚染された空気が家に溜まっていきます。
その時の健康被害は考えたくもありません。

③ 一定のコストがかかる

気密施工や測定にはコストがかかるため、 ローコスト住宅では採用されないケースもあります。
当社調べだと、一定の高気密住宅にするには、これまでの住宅から100万円以上のコストUPが必要となると言っている会社さんもあります。

4. 今「高気密の家」が求められる理由

気候変動と電気代のイメージ

① 夏も冬も“極端な暑さ・寒さ”が当たり前に

気候変動により、夏は猛暑・冬は寒波が当たり前の時代。 外気の影響を受けにくい家=高気密住宅は、年々重要性が増しています。
高気密と高断熱のセットがうたわれているのはこのためです。

② 電気代の高騰

冷暖房効率が高い家は、光熱費を大幅に抑えられます。 今後確実に増えていく光熱費を考えていくと、いま家づくりをするうえで、 「ランニングコストを下げる性能」は必須条件になっています。

③ 性能基準(省エネ基準)の強化

国の住宅基準も年々厳しくなり、 高気密・高断熱が前提の時代になりました。
国の補助金や減税を受けるための最低条件として、省エネ住宅であることがうたわれています。

④ 換気・空気環境の重視

花粉症・PM2.5・ウイルスなど、空気の問題が増える中、 空気の流れをコントロールできる家づくりが重要になっています。

まとめ ― 気密性は“快適さ・健康・耐久性”を支える土台

快適な高気密住宅の室内
  • 気密性=すき間の少なさ
  • 冷暖房効率UPで光熱費が下がる
  • 空気環境が改善され、健康にも良い
  • 家の寿命が伸びる
  • 正しい換気とセットで効果を最大化

高気密の家は、単なる“性能の良い家”ではありません。 家族の健康を守り、快適さをつくり、家を長持ちさせる「住宅の基本性能」です。
ただし、気密性だけでは良い家は出来ません。
そのことを理解して気密性を重視した家づくりをしてみてください。

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