管理・光熱費・・・家づくりに重要な「トータルコスト」への意識
今回は、家づくりに重要な「トータルコスト」への意識について取り上げます。※本連載では、オーガニックで豊かな暮らしの家づくり推進協議会・会長で、明工建設株式会社の代表取締役・仁藤 衛氏の著書、『知らなきゃ損! 建てる前に必ず読む本』(知道出版)の中から一部を抜粋し、家づくりに潜む「7つの落とし穴」を明らかにし、それらを回避するためのポイントを解説します。
「今日の100万円」と「10年後の100万円」は価値が違う
ここまで、「ランニングコスト」と「イニシャルコスト」のお話をしてきました。
それは、これからインフレの時代がやってきそうだからです。
インフレとはモノの値段が上がることですが、つまりそれはお金の価値が下がることでもあります。「今日の100万円と10年後の100万円の価値は違う」とはよく言われますよね。つまり、今日より明日のほうがお金の価値が下がるわけです。であれば、先に支払ったほうが良いということになります。
インフレの世の中では、「ランニングコスト」として後から支払うよりも、「イニシャルコスト」として、最初に支払っておいたほうが、おトクということになりますよね。
逆に、デフレ社会であれば、今日よりも明日のほうが、お金の価値が上がるのですから、後から支払ったほうがおトクです。
先ほど、毎月3万円のランニングコストは、40年間で1,440万円にもなるというお話をしましたが、もしこれに、年率2パーセントのインフレ率を入れて考えると、なんと「年間で2,174万円」にもなります。家1軒分以上になるかもしれない、大変な金額です。
これから来るであろうインフレ時代には、マンションの管理費や、光熱費などの後々かかる「ランニングコスト」も、徐々に値上がりしていくことを考慮しておいたほうが良いと思います。なので、賢い選択が必要なのです。
「お金のかかり続ける家」を建ててしまわないように…
「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」を”下流老人”と呼ぶそうですが、日本には、2015年現在、推定600〜700万人くらいいると言われています。
せっかくマイホームを手に入れたのに、住み続けられなくて手放さざるを得ない老後を迎えることは避けたいですよね。
”下流老人”になってしまわないためにも、トータルコストの意識を忘れないでください。安いからといって、生涯ずっとお金のかかり続ける家を建ててしまわないように。